今が美味しいトウモロコシ。たくさんの皮に包まれて大事に育った粒たちは、この時期の美味しい定番。その皮を使って作られたお人形さんの姿に、見た人たちが感嘆の声をあげています。

 「トウモロコシで姉様人形を作りました。スーパーでトウモロコシを見るたびに作りたかったのですが、今年もついに作りました。去年頑張って考えたのですが、細かいところはやはり忘れていたので自分のブログを見ながら作りました。一番の楽しみは着物を着せるところです」

 と、美しい日本髪を結い上げた和服美人をツイッターに投稿しているのは、「New草花あそび研究所」の所長であるinoriさん。inoriさんは、身近な植物で色々な遊びを伝える「あたらしい草花あそび」「作ってびっくり!かわいい草花あそび」の2冊の著書を出版しています。

 4枚の写真の1枚目には、トウモロコシの皮の外側や内側を使って作られた和服のお人形さん。髪の毛はきれいに日本髪が結われています。頭のてっぺんに結い上げられた紐は、皮の緑の濃い部分が使われており、頭部のアクセントに。

 2枚目には、トウモロコシの状態から内側の薄い緑の部分を使って、日本髪を結い上げているメイキングの様子が写し出されています。

 3枚目は、出来上がった姉様人形の前と後ろの姿。濃い緑の帯がきれいにお太鼓になっています。帯締めは、細く割いた皮を三つ編みにして結わえられています。その細かさに、思わずため息が出そう。

 4枚目は、出来上がったお人形さんと中身のトウモロコシのツーショット写真。黄色のトウモロコシと、様々な緑で作られたお人形さんの色の対比が目に鮮やかです。

 着物を着せるのが楽しみ、とツイートされたinoriさんですが、着物の合わせを見ると、確かにきっちりと着付けられた合わせのところから、微妙な黄緑色の違いが見て取ることができます。

 この写真を見た人たちからは、「母が生前作っていて懐かしくなった、久しぶりに子供心に還るものを見た」といった、昔の遊びを思い出す人、「日本髪や帯の細かなところまで美しい」「小粋な女将さんが風呂敷包みをお上品に持っているみたい」「トウモロコシの中にこんなたおやかな娘さんが隠れていたとは」といった、その美しさに魅了される人たちからの声が続々。

 翌日にはさらに改良して、打ち掛けに角隠しの花嫁人形を作ってツイッターに写真と動画を投稿したinoriさん。

 こちらは日本髪を頭とは別にして結って付けるかつら方式。和装の花嫁さんの様になったという事で角隠しもセット。日本髪の結い方を含めた動画を数回に分けて紹介しているので、初めて作る人でも動画を見ながら作れそうです。

 inoriさんによると、ネット上にはきっちりとした高島田髷の日本髪に結ったトウモロコシの皮のお人形さんは見当たらなかったとのことで、独自にかなりの工夫をこらしそうです。そこから更に、かつら方式にして花嫁様を作ってしまうのですから、もう芸術作品の域。「自信作です!」と語っていました。

 トウモロコシの皮を使ったお人形自体は、日本を含め世界各地で様々な形で作られていたそうですが、今の様におもちゃが潤沢でなかった頃の「ごっこ遊び」にも使われていたのでしょう。日本では、戦前よりも前から、千代紙などを帯にするなど装飾を凝らしたトウモロコシのお人形が日本各地で作られていたようです。

 inoriさんも、子どもの頃にお母様から日本髪のトウモロコシのお人形を教えてもらったそうですが、ここまでしっかりと着付けて髪もキレイに結ったものではなかった、ごく簡単なつくりだったそう。そこで、きっちりとした日本髪を作りたくて想像を広げながら試行錯誤して作られたそうですよ。

 様々なおもちゃやお人形が簡単に手に入ってしまう今だからこそ、こういった伝承的な遊びを子どもに作って見せてみるのもよいかもしれませんね。モノを作るのが好きな人は、ぜひトライしてみてください。inoriさんのブログには、日本髪の結い方も含んだ詳しい作り方が載っていますので、そちらを参考にしてみてくださいね。

<記事化協力>
inoriさん(@kusabanaasobi)

(梓川みいな)