車やバイク愛好家の夢として語られるのが、旧車をガレージでレストアすること。もちろん、現実は多くのお金と手間暇がかかり、なかなか実現するのは難しいものです。
ガレージに入った旧車と使い込まれた工具、どこかから漂うオイルの匂い……子どもの頃に憧れた、車・バイク好きの夢を具現化したような「男のドォルハウス」。作者の杉山武司さんに、作品についてうかがいました。
古びたカフェのガレージに入っているのは、2ドアハードトップのハコスカGT-R(KPGC10)。
どこにある建物だろうと思ってしまいますが、これはミニチュアのジオラマ。杉山武司さんは、ガレージやカフェのミニチュア「男のドォルハウス」を20年近く作り続けています。
車やバイクの模型でポピュラーな1/24スケールや、ドールハウスの基本である1/12スケール、戦車などの模型で標準的な1/35スケールでミニチュアの建物を作っている杉山さん。
かつては初代カローラレビン(TE27)を愛車にしていたそうで「旧車好きなので作品にも旧車をからめて、自分の好きな世界観を表現しています」と語ります。
どこか懐かしさを感じさせるたたずまいですが、作品の多くは特定の建物をモデルにしているわけではなく「アメリカの田舎町とかも好きで、アメリカのような北海道のような独特な建物になっています」とのこと。
家具や建具の素材はヒノキ。建物は建具店で育ったこともあり、ドーブチ(胴縁)やスタイロフォームといった建材も使っているそうです。
年月を感じさせる風合いはオイルステインとアクリル絵の具で。きちんと整えられているのではなく、どこかこ埃っぽい感じがまた「秘密基地」的な印象を強くさせます。
大きな1/12スケールの場合、ひとつの作品を作るのに3か月から半年ほどかかることも。「意外とドアや窓など、建具が時間かかるんです」細かい造作の分、寸法合わせの手間が必要なようです。
杉山さんは自身を「モデラーではない」と語っていて、作品に合わせる車やバイクはプラモデルやミニカーをアレンジしたもの。あくまでも主役は建物であり、雰囲気を演出する小道具といったところでしょうか。
どこかノスタルジーを感じさせつつ、いつか憧れた夢の世界を思わせる杉山さんの作品は、展示会などで見る機会があるそうです。
2022年2月27日〜3月5日に東京のJR有楽町駅前にある東京交通会館B1F、ゴールドサロンで開催される「はが いちよう(芳賀一洋)展&渋谷クラフトクラブ展」では、自動販売機のある休憩所をモチーフにしたミニチュア作品を出展予定。芳賀さんは杉山さんの師匠にあたる方なんだそうです。
このほか「2022年は7月に地元(北海道滝川市)で、11月に札幌で作品展をする予定です」とのことなので、お近くの方は必見かもしれません。
骨太男のドォルハウスです。
ガレージハウスはフルスクラッチです。
図面も無しでイメージだけで製作しております。
なので複雑な建物は作れません😆😅
だいたいは辻褄のあう寸法
スケールは1/12ハコスカはイグニッションモデル#男のドォルハウス pic.twitter.com/K8e1tY1i29
— 杉山武司 (@takejisugiyama) February 11, 2022
<記事化協力>
杉山武司さん(@takejisugiyama)
(咲村珠樹)