災害で避難生活を余儀なくされた場合、重要なのが「プライベートな空間」と「日常性」の確保です。心身ともにストレスを抱えがちになりますが、ちょっとした工夫が心を軽くしてくれるかもしれません。
あるTwitterユーザーが、タイムラインで小耳に挟んだ「避難時の体験でイヤホンが役立った」という話をツイートしたところ、多くの反響が寄せられています。
Twitterで小耳に挟んだ情報をもとに、避難袋に有線のイヤホンを入れている、とツイートしたのは「しゃお」さん。
元になったツイートについては「友人や知人ではなく、数年前に偶然見かけたもの」とのことで、今となっては一字一句そのまま覚えているわけではない、と断った上で話してくれました。
しゃおさんが紹介したエピソードは、東日本大震災時に避難している際、イヤホンで外の音を遮断し、音楽やラジオを聴くことでストレスを軽減できた、というもの。似たようなエピソードは筆者も耳にしたことがあるので、同じ経験をした方も、実は少なくないのかもしれません。
不安な気持ちが襲ってきている時、外から絶え間なく襲ってくるストレスの刺激から一旦離れ、自分の心を落ち着ける時間を作ることは、心理的な負担を軽減する上でも重要です。
イヤホンであれば、周囲の人々に音漏れの迷惑をかけることなく、自分の好きな音楽を聴いたり、ラジオで情報収集することも可能です。バッテリーを余分に確保しておくと、より効果的かもしれません。
災害は突然降りかかってくるもので、避難生活は家族以外の人々と不安を抱えながら過ごすということもあり、心身ともに大きな負担となります。特に小さなお子さんの場合、日常と違う環境から情緒不安定になり、泣いてしまうことも。
こうした状況を少しでも和らげるため、しゃおさんがツイートした「イヤホン」のほかに、いくつかの工夫が知られています。
小さなお子さんの場合、お気に入りのぬいぐるみ(大きくないもの)や、気に入った絵本やおもちゃ(音を発しないもの)などを避難の際に持ち出せるようにしておくと、精神的な支えになってくれる場合があります。
また、しゃおさんは続くツイートで、小さな地震があるたびにTwitterのタイムラインに流れてくる防災ハックを参考に、自分の中で重要なグッズを避難袋に備えるようになった、と語っています。例として、生理用品や“普段使っている”歯磨きセットを入れたとのこと。
このところの災害でクローズアップされているのが、避難時に寄せられた支援物資の偏り。特に女性の生理用品や、赤ちゃんの紙おむつなどは供給に偏りが起きやすく、デリケートな部分に触れるため、普段と違うものではかぶれてしまうなど肌への相性も重要です。できる範囲で、普段使っているものを持ち出せるよう、用意しておくといいかもしれません。
また、しゃおさんがツイートしたように「普段使っているもの」を持ち出すというのも重要です。避難生活はいつもと違う非日常な体験ゆえ、どうしても心身のバランスを崩しがち。そこに少しでも「日常」を取り込むことで、非日常の状態を緩和し心身の不調を軽減させる効果があるかもしれません。
もちろん、日常を取り込むといっても多くの人と暮らす避難所ですから、我を通しすぎず、自分だけで分かる小さなことから気を付けておくといいでしょう。「自分が普段通りでいられる」という場面を作るだけで、心の中に余裕が生まれてくるのではないかと筆者は思います。
しゃおさんのツイートは反響を呼び、2万件を超える「いいね」のほか、リプライで自分なりのストレス軽減グッズを入れているという意見も寄せられています。あまり大きなものだと大変ですが、イヤホンや歯磨きセットなど、小さな「日常」を避難袋に忍ばせておくと、災害時に心強い味方になってくれるかもしれません。
3.11震災で避難生活を経験したひとが「イヤホンがあって外の音を遮断してラジオや音楽を聞けたことでかなりストレスを軽減できた」と言っていたので、わたしは日常的にはもう使っていないが避難袋には有線イヤホンを入れています。
— しゃお (@_xiaomal) April 12, 2022
<記事化協力>
しゃおさん(@_xiaomal)
(咲村珠樹)