「特撮映像館」、今回は前回に続いて『デスノート』の後編を取り上げます。新たに死神レムも登場し、合成シーンもより多く楽しめます。

前後編の後編にあたる本作。原作とは違う結末を用意したことでも話題になった。
前作ではリュークだけが登場していたが、本作ではレムという別の死神も登場。また回想シーンとして死神の世界と死神ジェラスも登場する。


映画の見どころはキラとLの頭脳戦ともいえる攻防に尽きるが、特撮ファンとしては違和感なく画面に登場するリュークとレムがうれしい。空を飛び壁をすり抜け、死ぬときには砂になって崩れ落ちる死神。ひとつだけ惜しいと感じるのは口の動きとセリフのシンクロが微妙で、外国映画の吹き替えのように見えること。これがピッタリ合っていたらほかにはもう言うことのない完璧さだろう。

前編は前編で楽しめたが、後編である本作のための助走部分というか、本作を楽しむために「デスノート」について予備知識を与えるものだったようにも感じる。それは「第2のキラ」が現れたりレムが登場したりという世界観の広がりによって感じるものなのかもしれないが、原作を離れて映画独自の展開を見せていることから、のびのびとした印象があるからなのかもしれない。結果的に原作コミックとその内容に準拠したアニメ版、原作とは結末の異なる実写映画版と3つの『デスノート』ができたわけで、それぞれに楽しめる物に仕上がっているのはいいことだろう。

それにしても金子修介という監督は俳優に役を演じさせるのがうまいのかもしれない。個性的な俳優の場合「〇〇が演じた〇〇役」という俳優の個性ばかりが前面に出やすいが、金子監督の映画では「〇〇役を演じる〇〇」という印象が強い。いちど木村拓也主演で金子監督の作品を見てみたいものである。

監督/金子修介
キャスト/藤原竜也、松山ケンイチ、戸田恵梨香、鹿賀丈史、藤村俊二、片瀬那奈良、ほか。
2006年/140分/日本

(文:猫目ユウ / https://suzukaze-ya.jimdo.com/