写実的に描かれた絵は、一瞬本物と見間違えるほどの驚きがありますが、さらに視覚をバグらせてくれるのがトリックアート。絵だと分かった上で見ても、やっぱり信じられない気分にさせてくれます。

 ここに、色鉛筆で描かれたイカのトリックアートがあります。イラストだと知らされても、どうしても立体に見えてしまう……作者のARIAさんに、その仕掛けについてうかがいました。

 ARIAさんがTwitterに投稿した、イカのトリックアート。続いての動画ツイートで、それが立体ではなく、平面の紙に描かれているという種明かしがされているのですが、やっぱり立体的に見えてしまいます。

色鉛筆を上に転がしてみる(ARIAさん提供)

 今回、イラストのモチーフにイカを選んだ理由をうかがうと「憧れのイラストレーターさんがいて、その方が色鉛筆で超絶リアルなタコやイカを写実しているのを見て、挑戦したくなりました」とのこと。様々なイカの画像を見ながら、体の作りや質感をできる限り忠実に色鉛筆画として再現しました。

 ARIAさんいわく、リアルなイラストを描くためには観察力が重要。細かい模様や配色など、じっくり観察して描いていくそうで「描くが3割、観察が7割くらいだと思っております」と語ります。

 ぬめった表面のテカリや、下に落ちる影など、光源の位置も頭に入れながら描き込んでいきます。しかし、それを超えて実際に本物が紙に置いてあるように感じさせるには、さらにもう一工夫が必要なんだとか。

回転させてみる(ARIAさん提供)

 その仕掛けが、紙からはみ出したように見える三角のエンペラ部分。イラストを裏返すと気づくのですが、紙を切り取り、エンペラ部分を突出させるように残すことで「紙は四角形」という固定観念を利用し、浮き上がって見えるようになっているのです。

裏返すと仕掛けが分かる(ARIAさん提供)

 エンペラの仕掛けが1番の重要ポイント、というARIAさん。「かなり多くの方を騙すことができました」と、してやったりのコメントです。

 今回は資料写真を参考にイカを描きましたが、次の新作では「実際に市場へ行って魚類や軟体動物を描いてみようと思っております」というARIAさん。今度はどんな驚きを見せてくれるのか、楽しみです。

<記事化協力>
ARIAさん(@aririria_art)

(咲村珠樹)