【まちなかアート】ジョエル・シャピロ作「WALK」/博多駅・西日本シティ銀行本店前芸術作品というと、博物館や美術館に展示されているものを想像しがちですが、意外と街のなかにもたくさん隠れています。

博多駅西日本シティ銀行本店前にこんなオブジェを見つけました。


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棒人間のような人の形を纏ったこのオブジェは、写真からもわかるようにかなりの大きさです。

ジョエル・シャピロ作「WALK」/博多駅・西日本シティ銀行本店前

そしておもしろいことに、このオブジェは人によって見方が変わってきます。

上を向いて歩いているように見えるオブジェ

ある人にとっては、上を向いて歩いているように。

前のめりで一歩踏み出しているように見えるオブジェ

またある人にとっては、前のめりで一歩踏み出しているように。

シンプルに見えてとても奥深い作品です。
このオブジェの大きさと質感のせいもありますが、その一歩はとても力強く、前向きなイメージを感じさせてくれます。

余談ですが、おそらく観光にきていたと思われる高校生の男の子たちは、このオブジェを「上を向いて歩いている」と感じ取り、オブジェと並んで同じポーズを撮りながら写真撮影をしていました。
街のなかにあるオブジェは、館内に並べられている作品と違い、自由に写真を撮れるのがまたいいですね。

さて、この作品は1988年ジョエル・シャピロ作「WALK」というものです。

ジョエル・シャピロのサインプレート

ジョエル・シャピロは1941年アメリカのニューヨーク市で生まれ、彫刻家として多くの作品を残しています。

この「WALK」という作品に似た作品もたくさんありますので、比較してみるのもおもしろいかもしれません。

彼の作品はいわゆる『ミニマルアート』と呼ばれます。

『ミニマルアート』とは、装飾的・説明的な部分をできるだけ削ぎ落とし、シンプルな形と色を使用して表現する彫刻や絵画で、1960年代を通じておもにアメリカ合衆国で展開したと言われます。
なかでも『ミニマル彫刻』とは、作品が展示される場(ギャラリーや美術館の展示空間)の固有な特性(広さ、高さ、採光など)と調和を図ることが、従来の彫刻作品よりも常に考慮されているそうです。(Wikipedia参照)

しかし、多くの『ミニマル彫刻』と呼ばれるものが、何らかの素材を組み合わせて抽象的な作品を作り出すのに対し、
ジョエル・シャピロの作品は、何らかの素材を組み合わせて、例えばこの作品のように『人』とわかるような具体的な作品を作り上げてしまうところが、単なる『ミニマル彫刻』と言い切れないところではないでしょうか。

何気ない風景に溶け込むオブジェですが、そこにはオブジェが自己を主張し過ぎないように、都市の景観を引き出す役割を果たしているのでしょうね。

意識すると街のなかにはたくさんの作品がありますので、たまには目を向けてみてはいかがでしょうか。
新たな発見があるかもしれません。

(文・写真:ゆきな http://yukina1226.blog.fc2.com/