おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

作家が二次創作活動を容認する「同人マーク」とは?―「容認しないマーク」も必要との声も

リリース特定非営利活動法人コモンスフィア(以下「コモンスフィア」)は7月17日、作家が一定範囲の二次創作活動を認める意思表示のマーク「同人マーク(仮)」の運用を今夏から開始することを発表した。

【関連:コミケサークル参加初心者のための“誰も教えてくれないコミケの常識”】

リリース

  • こうした著作物の利用範囲に関する意思表示については、既にコモンスフィアが普及する、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス=http://creativecommons.jp/というものが存在する。

    作家が「この条件を守れば私の作品を自由に使って良いですよ」とという意思表示を(CC)マークを基本に、4つのマークを組み合わせることで全6種表現できるというもの。

    ▽現在あるマーク
    ・表示マーク=作品のクレジットを表示すること
    ・非営利マーク=営利目的での利用をしないこと
    ・改変禁止マーク=元の作品を改変しないこと
    ・継承マーク=元の作品と同じ組み合わせのCCライセンスで公開すること

    既に6種類ある意思表示については、これまで同様の運用がされるが、今回改めて二次創作活動に特化したマークが発足される理由についてコモンスフィアは「既存のものは日本の同人文化の求めているツールとは違うのでは」という指摘があったため及び、日本のTTP=環太平洋連携協定への参加により著作権侵害が非親告罪化※される可能性があるためと説明。

    今回運用が決定している「同人マーク(仮)」の基本コンセプトは次の通り。

    ▽「同人マーク(仮)」の基本コンセプト
    ・作家が自分の作品について付けるもの
    ・第三者による二次創作同人誌の配布を同人誌即売会で行うことを認める(ただし、デジタルデータは除く)、という意思表示である
    ・もとの作品の全部または一部をそのままコピーして配布することは認めない(二次創作のみ許容する)

    容認される範囲は基本「二次創作同人誌の配布を同人誌即売会で行うこと」になっているが、コモンスフィアの運営に関わっている弁護士の野口祐子さんのツイートによると

    <引用ここから>
    しかし、この同人マークを採用した作家さんの中には、即売会以外での流通もOKです!という作家さんももちろんいらっしゃると思います。デジタルOKという方もいるでしょう。その場合には、「即売会以外もOK,デジタルもOK」と追加で意思表示していただくことを考えています。(引用元:@noguchiyk/2013年7月17日投稿)
    <引用ここまで>

    と説明されており、その点については今後対応が見込まれる。

    なお、マークの利用についてコモンスフィアは、「あくまで作家側の自由意思によるものであり、マークのない作品の利用については、これまでと扱いを変える意味を持つものではない」と説明しているが、一部インターネットユーザーの間では「容認マークだけではなく容認しないマークも必要なのでは?」という意見が既に挙げられている。

    確かに、作家の中には「二次創作活動を歓迎」する人ばかりではない。中には「自分の世界観を壊されたくない」と思う人もいれば、「二次創作は否定しないけれども自分の作品を使用して性的表現をされるのは嫌」という人もいる。
    その為「容認する側」だけのマークではなく「容認しない側」のマーク、そして「限定容認のマーク」というものも必要になってくる可能性がある。

    今回発足するこの「同人マーク(仮)」はそうした意味で、今後まだまだ見直す余地があるものと思われる。

    運用開始は2013年晩夏に予定されている講談社「少年マガジン」で開始される赤松健氏の新連載マンガからを予定。

    そして、マーク運用に先駆けコモンスフィアは7月17日から28日の期間、マークデザインを一般公募している。応募詳細はコモンスフィアの公式サイト=http://commonsphere.jp/archives/286で確認して欲しい。

    ※非親告罪化=著作権者からの告訴がなくても検察が自由に訴追できるようになること。

    情報元:
    「同人マーク(仮)」のデザイン案の募集のお知らせ:http://commonsphere.jp/archives/286
    コモンスフィア野口祐子さんTwitter:@noguchiyk

    あわせて読みたい関連記事
  • カプコンが「二次創作ガイドライン」を公開 寛大なるルール制定の一方、戸惑いの声も
    ゲーム, ニュース・話題

    カプコンが「二次創作ガイドライン」を公開 寛大なるルール制定の一方、戸惑いの声も…

  • コミケ50周年
    アニメ/マンガ, イベント・キャンペーン

    「コミケ50周年」記念プロジェクトが始動 特設Xアカウントも開設

  • クリプトン、キャラクター利用に関する注意喚起 一部の利用に懸念の声
    企業・サービス, 経済

    クリプトン、キャラクター利用に関する注意喚起 一部の利用に懸念の声

  • 1400件を越す街中の「いらすとや」使用例を調査、記録した「いらすとやマップ」
    インターネット, おもしろ

    いらすとや使用例マニアが「いらすとやマップ」を作成 1400件調査して見えてきた…

  • 痛恨の文字化けで頒布予定のグッズにエラーが発生(どんこさん提供)
    インターネット, おもしろ

    痛恨の文字化けで「やる気」が「もり気」に せっかくだからコミケで頒布予定

  • 母が作った同人誌の内容を報告するカシシさんのツイート(スクリーンショット)
    インターネット, おもしろ

    総ページ数200以上! 母が作った初めての漫画同人誌

  • 実家から同人誌の箱で送られてきた大根(斎藤かよこさん提供)
    インターネット, おもしろ

    そ、その箱は……!実家から同人誌の箱で野菜が送られ漫画家パニック

  • 初対面の人物がいつの間にかサークルのスペース内に(ぬこー様さん提供)
    インターネット, 社会・物議

    あなた何様? コミケで新刊を押し付け交換を要求する「強制新刊交換くん」

  • 前後左右に連結できるサンワサプライの平台車
    商品・物販, 経済

    同人即売会でも活躍しそう サンワサプライから「合体できる平台車」が登場

  • ユニーク, 雑学

    【面白同人】「白い粉これくしょん」で話題のレビューサークル「東相模原研」

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 民放連、アニメ作品の“そっくり映像”出回り懸念 生成AIに声明
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    民放連、アニメ作品の“そっくり映像”出回り懸念 生成AIに声明

  • 欧州連合の旗(写真ACより)
    インターネット, 社会・物議

    EU、ネット上での児童性被害対策を強化 日本企業にも影響広がる可能性

  • ホロアースNPCに「事件に関係した実在人物想起」と指摘 運営が謝罪し削除対応
    ゲーム, ニュース・話題

    ホロアースNPCに「事件に関係した実在人物想起」と指摘 運営が謝罪し削除対応

  • ロッテ「雪見だいふく」が立体パズル化 メガハウスが11月下旬に新商品
    商品・物販, 経済

    ロッテ「雪見だいふく」が立体パズル化 メガハウスが11月下旬に新商品

  • 100tハンマー
    アニメ/マンガ, イベント・キャンペーン

    伝説のコンビを追体験 40周年「シティーハンター大原画展」上野で12月28日まで…

  • 韓国発の人気激辛「ブルダック」がじゃがりこに 1年4か月かけた再現度に注目
    商品・物販, 経済

    韓国発の人気激辛「ブルダック」がじゃがりこに 1年4か月かけた再現度に注目

  • トピックス

    1. 善意の通報が“誤報”に変わるAI時代 女川町のクマ騒動が示した危険性

      善意の通報が“誤報”に変わるAI時代 女川町のクマ騒動が示した危険性

      宮城県女川町が11月26日、公式Xで発信した「クマ出没情報」が、後に「生成AIによるフェイク画像」に…
    2. 派手なピンクに「マヂでアゲ」……道端に突如現れた「ギャルすぎる工事看板」が話題

      派手なピンクに「マヂでアゲ」……道端に突如現れた「ギャルすぎる工事看板」が話題

      「とても茨城県」というつぶやきとともに、Xに投稿された一枚の写真。そこには、一般的な工事現場のイメー…
    3. この涙は懐かしさ……なのか? 展示「あの職員室」で特大感情を揺さぶられたレポート

      この涙は懐かしさ……なのか? 展示「あの職員室」で特大感情を揺さぶられたレポート

      学生時代、入りたくても入れない「聖域」のような場所だった職員室。その風景を再現し、自由に探索できる展…

    編集部おすすめ

    1. ホロアースNPCに「事件に関係した実在人物想起」と指摘 運営が謝罪し削除対応

      ホロアースNPCに「事件に関係した実在人物想起」と指摘 運営が謝罪し削除対応

      バーチャルタレント事務所「ホロライブプロダクション」を展開するカバー株式会社は公式Xにて11月25日、同社のバーチャル空間プロジェクト「ホロ…
    2. エビの代わりに「パイの実」投入!ロッテ公式が送るエビチリアレンジに目を疑う

      エビの代わりに「パイの実」投入!ロッテ公式が送るエビチリアレンジに目を疑う

      ロッテは自社商品の各ブランドサイトで、アレンジレシピを公開しています。その中に「パイの実」をエビチリソースと卵で炒め合わせた「チリ玉パイの実…
    3. 100tハンマー

      伝説のコンビを追体験 40周年「シティーハンター大原画展」上野で12月28日まで開催

      「シティーハンター」連載開始40周年を記念した原画展「シティーハンター大原画展~FOREVER, CITY HUNTER!!~」が、11月2…
    4. 宝塚・宙組特別メニューから“酢”消える 「酢が退団?」とSNSざわつく

      宝塚・宙組特別メニューから“酢”消える 「酢が退団?」とSNSざわつく

      11月22日午前、X(旧Twitter)のトレンドに「宙組公演特別メニュー」が一時浮上し、ファンの間で大きな話題となりました。きっかけとなっ…
    5. ミラノで開催「IQOS Curious X Sensorium Worlds」現地取材 五感に響いたIQOSの“世界観”

      ミラノで開催IQOS X SELETTI「Sensorium Worlds」現地取材 五感に響いたIQOSの“世界観”

      フィリップ モリスが、イタリアでイベント「Sensorium Worlds」を開催。今回は、この壮大なイベントの模様とともに「IQOS To…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト