おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

「R指定」の基準って?R指定にまつわるあれこれ

update:

 R指定のRはrestricted、つまり「制限された」という意味に由来しています。 現在、日本国内の映倫が審査し定めるレーティングは全年齢鑑賞可能のG、12歳未満(小学生以下)には成人保護者の助言や指導が必要とされるPG12、15歳未満の映画館への入場や鑑賞を禁止するR15+、18歳未満の入場や鑑賞を禁止するR18+、さらに映倫マークをつけることが許されずほとんどの一般の映画館からは上映を拒否されてしまう審査適応区分外に分かれます。

  • 【関連:映画館でお馴染みの『映画泥棒』本格可動フュギュア化】

    映画館イメージ

     ちなみに過去、『インプリント~ぼっけえ、きょうてえ~』の性的描写や間引き、グロテスクな凄惨さが問題となり審査適応区分外とされたために一般の映画館では上映を拒否され、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭以外でのお目見えは渋谷のシアターイメージフォーラムのレイトショーのみだったそうです。

    ■明確な線引きはない

     日本では表現の自由を守り青少年の健全な育成を目的としている映画倫理委員会がレーティングを定めます。例えば、著しい性的感情を刺激する行動描写、著しく反社会的行動や行為、麻薬・覚せい剤の使用を賛美するなど極めて刺激が強い表現などが審査対象になりますが、ここまではセーフでここからアウトという明確な線引きはありません。

     ちなみに映画倫理委員会の審査方針によると「児童ポルノ、わいせつな図画など非合法な素材、描写を含む作品」と「ドラマ性、ストーリー展開などが希薄で、専ら著しく刺激的な性行為や残虐な暴力などの描写に終始する映像。(いわゆる18禁アニメ、残虐ビデオ、アダルトビデオなど)」は区分適用外(R18+に区分される表現を超える)とする、とされています。

    ■個人的に思った「え、この作品も18禁?」

     というわけで、今回はR15+と比べて、個人的に「え、これがR18+なの?」 という作品をピックアップしてみました。

    R18指定

    ・『SHAME-シェイム-』
     セックス依存の男性の苦悩を描いた物語です。複数でのシーンや過激な性描写、ヌードシーンが見られるためR18+に指定されていますが、非常に映像の美しい映画で猥雑さはあまり感じられません。劇場で観たときにR15+でもいいのではないか、と感じました。

    ・『その土曜日、7時58分』
     殺人シーンが多く、悲劇が悲劇を呼ぶストーリー展開に息を飲む映画ですが、ストーリー性は強くR15+でも問題がないように思いました。

    ・『花宵道中』
     江戸時代後期の吉原を舞台とした遊女たちの物語です。物語の性質上、性描写は欠かせませんが、18歳未満が観るにふさわしくないとされてしまうようです。

    ・『アイズ ワイド シャット』
     スタンリー・キューブリック監督の遺作です。トム・クルーズとニコール・キッドマンが出演した作品。たしかに複数でのシーンやヌードなど多々見られますが、あまりにイヤらしいという感じではありません。鑑賞した当時「え、これで18禁なの?」と首を傾げた覚えがあります。

    ■話題になる作品には審査が厳しいのでは?

     近年、性描写については芸術とポルノの線引きが非常に難しいために審査が緩和されつつあるそうです。

    「R指定」の基準って?R指定にまつわるあれこれ

     R15+に指定された作品でも結構暴力シーンで血しぶきが飛びまくっていたり、際どい性描写があったりとR18+にしなくていいの? と思うような作品がかなり多く、18禁に指定されるラインはあやふやなような気がします。

     ちなみにアメリカの18禁(NC-17)には、日本では全年齢が鑑賞できるG指定のアニメ『パプリカ』、『鉄コン筋クリート』、『カウボーイビバップ 天国の扉』などが指定されていたりもします。

     話題になった作品は多くの人が鑑賞することから審査員の目が厳しくなる、ということはあるのかもしれませんね。

    (文:大路実歩子)

    あわせて読みたい関連記事
  • 「M3GAN/ミーガン 2.0」公式サイトは日本公開中止の告知のみの画面に
    エンタメ, 映画

    映画「M3GAN/ミーガン 2.0」日本劇場公開が突如中止 理由は不明

  • 支援金1億円超のクラウドファンディング不正流用 映画化プロジェクトが中止へ
    インターネット, 社会・物議

    支援金1億円超のクラウドファンディング不正流用 映画化プロジェクトが中止へ

  • 車の中に潜んだペニーワイズ!売りに出したあとで気づいたうっかりミス
    インターネット, おもしろ

    車の中に潜んだペニーワイズ!売りに出したあとで気づいたうっかりミス

  • 名刺入れの中には半券などがビッシリ
    インターネット, おもしろ

    映画の紙チケットや半券は名刺入れに!映画好きが保管方法を紹介

  • 東洋の魔窟「九龍城砦」を約10億かけ再現 「トワイライト・ウォリアーズ」美術メイキング映像公開
    エンタメ, 映画

    東洋の魔窟「九龍城砦」を約10億かけ再現 「トワイライト・ウォリアーズ」美術メイ…

  • ホラー映画「ソウX」と婚活イベントが異色コラボ 色んな意味でドキドキしそう
    企業・サービス, 経済

    ホラー映画「ソウX」と婚活イベントが異色コラボ 色んな意味でドキドキしそう

  • クロス新宿ビジョンに「温泉シャーク」が登場/(C)2024 PLAN A inc.
    エンタメ, 映画

    日本発のサメ映画「温泉シャーク」完成披露上映会が開催決定!クロス新宿ビジョンには…

  • 映画「帰ってきた あぶない刑事」舞台挨拶 タカとユージの登場にファン歓喜
    エンタメ, 映画

    映画「帰ってきた あぶない刑事」舞台挨拶 タカとユージの登場にファン歓喜

  • 「踊る大捜査線」が謎のカウントダウンを開始 3月18日21時に注目集まる
    TV・ドラマ, エンタメ

    「踊る大捜査線」が謎のカウントダウンを開始 3月18日21時に注目集まる

  • 「子どもの頃と大人になってからで見方が変わった映画・漫画・アニメ等の作品」まとめてみた
    アニメ/マンガ, コラム・レビュー

    「子どもの頃と大人になってからで見方が変わった作品」を募集してみた結果

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 米バンダイナムコ、AI生成の偽パッケージ拡散を問題視 「暴力を強く非難」
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    米バンダイナムコ、AI生成の偽パッケージ拡散を問題視 「暴力を強く非難」

  • 介護未経験者全体の72.9%が将来に向けて「特に何も準備していない」
    社会, 経済

    仕事と介護の両立に不安85% ダスキンが「介護白書2025」で実態調査

  • プリキュア映画ぬりえコンテスト、第三者による不正応募判明 公式が謝罪と訂正
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    プリキュア映画ぬりえコンテスト、第三者による不正応募判明 公式が謝罪と訂正

  • 美食祭 in 日本橋三越
    TV・ドラマ, エンタメ

    高見沢俊彦の“美しいメシ”100回記念 日本橋三越で初の美食祭

  • なか卯が“ウニの二大メニュー” 雲丹おろしうどんとウニ丼を9月17日から販売
    商品・物販, 経済

    なか卯が“ウニの二大メニュー” 雲丹おろしうどんとウニ丼を9月17日から販売

  • 掃除機「自動お手入れ機能」篇(15秒)
    商品・物販, 経済

    反町隆史、東芝新CMで料理や掃除に挑戦 家庭的な素顔ものぞかせる

  • トピックス

    1. 日本最古の弁当屋の「実在しない“かつての”テレビCM」架空CMソングユニットが制作

      日本最古の弁当屋の「実在しない昭和テレビCM」架空CMソングユニットが制作

      画質や造作を古い時代風にした「アナクロ映像」が流行っています。そんな中、「日本最古の弁当屋」が、数々…
    2. 偽ファッション広告

      偽ファッション広告がGoogle広告に大量出現 サポート詐欺被害に注意

      2025年9月上旬からGoogle広告に偽ファッションサイトが急増。数秒で「Windows Defe…
    3. 邪悪なAI搭載「絶対にバズるSNS」で理不尽な炎上を疑似体験→リアルすぎて怖くなった

      邪悪なAI搭載「絶対にバズるSNS」で理不尽な炎上を疑似体験→リアルすぎて怖くなった

      Webコンテンツ「絶対にバズるSNS」が9月15日公開。9月26日公開映画「俺ではない炎上」と連動し…

    編集部おすすめ

    1. 米バンダイナムコ、AI生成の偽パッケージ拡散を問題視 「暴力を強く非難」

      米バンダイナムコ、AI生成の偽パッケージ拡散を問題視 「暴力を強く非難」

      9月17日、バンダイナムコの玩具・コレクティブル事業を担う米国法人「Bandai Namco Toys & Collectibles Ame…
    2. キミは知っているか!ヨーグルトの「舐められるフタ裏」まとめイラストが有益すぎる

      キミは知っているか!ヨーグルトの「舐められるフタ裏」まとめイラストが有益すぎる

       「キミは舐めれるフタの裏を知っているか!」……そんな挑戦的なコピーと共に投稿された一枚のイラスト。題材となっているのは、誰もが一度は気にし…
    3. 英国伝統のうなぎ料理は“水槽の味”?日本にはない「ゼリー寄せ」の衝撃

      英国伝統のうなぎ料理は“水槽の味”?日本にはない「ゼリー寄せ」の衝撃

      日本でうなぎといえば、甘いタレをつけて香ばしく焼き上げた「蒲焼き」が定番のスタイル。白焼きなどもあるにはありますが、うなぎといえばやっぱり蒲…
    4. たこばさんの「糸こんにゃく炒飯」

      えっ…これ糸こんにゃく!?目も舌も騙される“ヘルシー炒飯”を実際に作ってみた

      「糸こんにゃくで作った炒飯が本物そっくりに仕上がる」と聞いたら、信じられるでしょうか。大阪市のたこ焼き店「たこ焼たこば」の店主がSNSに投稿…
    5. 虎ノ門ヒルズの「どこか奇妙な職業体験」が話題 ゴミを拾いながら物語の世界へ没入

      虎ノ門ヒルズの「どこか奇妙な職業体験」が話題 ゴミを拾いながら物語の世界へ没入

      虎ノ門ヒルズで清掃員の仕事を疑似体験しながら、非日常な体験に巻き込まれていく……そんな不思議な没入型体験イベント「どこか奇妙な職業体験 虎ノ…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト