ここ数年、外国の公船による領海侵犯や不審な船舶の動きが活発化している沖縄近海(東シナ海)。その海を上空から警戒監視そ行なっているのが、沖縄県の那覇航空基地(那覇空港)に所在する海上自衛隊の哨戒機部隊である第5航空群・第5航空隊です。海上自衛隊第5航空隊は2019年1月29日から、同じく沖縄県に前方派遣されて東シナ海の警戒監視に当たっているアメリカ海軍の哨戒機部隊、第10哨戒航空群(PRW-10)隷下のVP-47「ゴールデン・ソーズメン」と交流し、共同作戦における手順を確認する訓練を行なっています。
訓練に際し、海上自衛隊第5航空隊のメンバーは、VP-47が現在拠点にしている嘉手納基地を訪問。海上自衛隊代表とアメリカ海軍の友好の証として、互いに記念品を贈呈しました。
嘉手納基地の飛行場区域では、VP-47が使用している哨戒機、P-8Aポセイドンについて説明を受けます。海上自衛隊第5航空隊で使用しているP-3Cオライオンは、もともとロッキードの旅客機L-188エレクトラをベースに開発された哨戒機。P-8Aも同じく旅客機のボーイング737-800ERXをベースに開発された哨戒機ですが、P-3Cより大型なので機内も広々。
また、機内の機材も最新のものが揃えられています。もちろん、海上自衛隊が現在増備を進めている川崎P-1も、P-8Aにもない光ファイバーを使った最新の操縦システム「フライ・バイ・ライト」など先進の装備を持っていますが、現在のところ実戦配備されているのは、神奈川県厚木航空基地の第3航空隊のみ。このため、普段使っているP-3Cに比べて進歩した哨戒機材を興味深く見つめ、質問する姿も。
機内でもP-8Aについて様々な説明を受けたのち、海上自衛隊のメンバーは実際の哨戒飛行に同乗し、P-8Aにおける哨戒任務の進め方を見学しました。同じ東シナ海を哨戒区域とするアメリカのP-8Aと海上自衛隊のP-3C、双方の特性を知っておくことで、得られるデータなど、より的確に連携することが可能になるわけです。
沖縄周辺の東シナ海は広大で、南西諸島にかけては公海が挟まる部分もあり、中国人民解放軍の艦艇が太平洋に出る際に通過するケースもあります。また、北朝鮮の船舶が経済制裁を逃れるために違法な取引を洋上で行う「瀬取り」という行為もたびたび確認されており、日米が協力して海の警戒監視に当たることは重要さを増してきています。
Image:U.S.Navy VP-47
(咲村珠樹)