10連休もあった2019年のゴールデンウィーク。連休どころじゃないよ!という人と、連休過ぎてもどうにもやり場がない、という人と、様々だと思います。そんなゴールデンウィーク後に要注意なのが「五月病」と呼ばれる心の病。新入社員や新入学生が環境に適応できないことを起因にかかると言われていますが、もちろんそうでない人でもかかることがあります。そんな連休明けに訪れる「五月病」を少しでも回避できる、「五月病対策」を考えてみたいと思います。

■ 自殺率は1年の中でも2番目に多いのが5月

 平成31年4月19日に厚生労働省自殺対策推進室が発表した「警察庁の自殺統計に基づく自殺者数の推移等」のグラフによると、各年とも3月がトップ、次に多いのが5月、そして10月という結果が出ています(H31年分は速報値)。

警察庁の自殺統計に基づく自殺者数の推移等(抜粋)

 このグラフから読み取れるのは、3月は次年度への不安、入学・就職などの大きなイベントに付随する引っ越しや環境の大きな変化などによる強いストレスや、社会的なセーフティネットへ繋がれない(繋がらない)人の悲観的な気持ちの高まりなどが背景にあると推察されます。

 一方、5月の自殺率の上昇は、4月の間に大きく変化した環境に対するストレスからの一時的な開放から、再びストレスと向き合うことへの恐怖や、4月の間に新しい環境に順応できなかったストレスの再燃などが推察されます。

■ ストレスを感じたときと、それをどう対処すべきか

 ストレスを感じる場面というのは、ほぼ人間関係が絡んでいます。新しい環境で、先生や上司が怖いなどストレッサーになる、同級生と上手く合わない、同期と上手くやれない、自分の容姿や持病などで自分に自信がなく人目が気になるなど、そのストレスのほとんどが対人絡みと言われています。

 しかし、ここでストレスを上手く受け流せる人と、そうでない人に分かれてしまいます。それは何故か。

 ストレスに強い人は、元々の性格もありますが、ストレスを感じた場合に人に話すことができる、話せる人を何人も持っているという特徴があります。一方、ストレスに弱い人は、ちょっとしたことでもストレスを感じやすい以外に、人に話さずに一人でストレスと感じることを抱え込む性質がある人が多い特徴があります。

 一人で抱え込む人は、「こんな事を言って嫌われたらどうしよう」「こんな話をすると友人としてみてくれないのでは」「自分がストレスを抱えている人間に見えたくない」などの気持ちを抱えている事が多いです。その背景には、自己肯定感の低さや、そこに起因する人間不信、低い自尊心を守るための防衛反応としてのプライドの高さなどがあげられます。

 簡単に言ってしまうと、「他人にカッコ悪い自分を見せたくない」という気持ちが無意識のうちに発動しているといってもいいかもしれません。反対に、ストレスに強い人は、プライドはあまり高くない傾向にあり、人に自分の心の内をさらけ出すことが怖くない、同じ境遇の人との繋がりがある、自分がストレスと感じられる心の声に従える、などの特徴があります。

■ 「依存先」の分散化を

 このように、ストレスに強い人は、ストレスを感じたときに、同じ境遇の人に話を聞いてもらう、友人や援助団体などに助けを求めることができる、など、周りの人に上手に「依存」をしています。一人の友人だけに依存をするとその依存された友人は「重たい」と感じて去っていくことも多いのですが、広く多くの人とつながっておくことで、「このストレスはこの人に話すと何かいいヒントをもらえるかもしれない」と、ストレスの内容ごとに依存できる人が増えるので、誰か一人だけに負荷がかかることは少なくなります。ゲームや適度なお酒などもストレス解消の一つと言えますが、一時的なストレス解消にはなっても、根本を解消する行動にはなりえません。

 そして、公的機関に助けを求めるだけの余裕があれば、遠慮なく活用することが大事です。最近では、電話相談の他にも、メールやSNS、LINE、ネットチャットを活用した相談できる場も増えています。友人がいない、同級生や同僚にも話しづらいなど、「自分がぼっち」であると感じている人は、このようなネット相談を利用するのも一手です。

 以下に相談窓口を紹介いたしますので、もし連休明けに心が悲鳴を上げそうと気が付いたときは、なるべく早めに誰かに話を聞いてもらいましょう。一人で抱え込んでいても、気付きにつながることはあまり多くありませんが、誰かと対話することで気持ちが整理されて、対話によってストレス打開のヒントを得られるかもしれません。

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<引用・参考>
厚生労働省自殺対策推進室 警察庁の自殺統計に基づく自殺者数の推移等(PDF)
自殺対策 |厚生労働省

(梓川みいな/正看護師)