アメリカ海軍の主催で2年に1度開催される、恒例の国際共同訓練「RIMPAC(環太平洋合同演習)2020」が8月17日(現地時間)にハワイで始まりました。日本からは海上自衛隊の護衛艦いせと搭載ヘリコプター2機、そして護衛艦あしがらが参加。今年は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、洋上訓練のみが実施されます。
RIMPAC(RIM of the PACific)はアメリカ太平洋艦隊(第3艦隊)がホストとなり、環太平洋地域の国々が参加して2年に1度の割合で実施される国際共同訓練。1971年の第1回から数えて27回目になりますが、日本の海上自衛隊は1980年から参加し、今回が21回目の参加です。
通常なら、航空機や陸上部隊なども参加した総合的な訓練となるのですが、今回は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、内容が大きく変更されました。参加者の感染リスクを最小化するため、直接の接触が起こらない、艦艇による洋上訓練のみを実施する異例のものとなります。
ホスト役のアメリカ海軍は「対応可能なパートナーが、できる範囲で(Capable, Adaptive, Partners.)」というテーマを掲げ、参加する各国もそれぞれの事情を踏まえて艦艇を派遣することとなります。参加を表明したのはアメリカと日本のほか、オーストラリア、カナダ、シンガポール、ニュージーランド、フィリピン、フランス、ブルネイ、韓国の10か国。参加艦艇は水上艦22隻、潜水艦1隻と搭載航空機で、およそ5300名の将兵が訓練の拠点となるハワイに集まります。
訓練を主催するアメリカ海軍太平洋艦隊司令官、アキリーノ大将は「RIMPACは、志を同じくする国々が集って相互運用性を高め、自由で開かれたインド太平洋地域を維持していくという決意を内外に示すユニークな機会です。太平洋における安全保障環境上の懸念は増大しており、志を同じくする国々が相互協力し、自由で開かれた太平洋を維持することが今まで以上に求められています」と、RIMPAC開催の意義を語っています。
訓練を主導するアメリカ海軍第3艦隊司令官、コン中将は「船や人員を急に増やすことはできますが、互いの信頼を急に深めることはできません。この訓練に参加する素晴らしいチームは、これから2週間にわたって一連のイベントをともに経験しながら、関係を築いて絆を深めていきます。訓練を通じ、我々は適応能力を高め、人為的な災害や自然災害を問わず、あらゆる課題や危機に対応できるようになるでしょう」とのコメントを発表し、限られた訓練機会を最大限活用することを示唆しています。
RIMPACは8月31日まで実施される予定です。今回は参加部隊間の交流行事も一切開催されず、訓練の合間の寄港時には、ハワイへの新型コロナウイルス持ち込みを防ぐため、人との接触は衣装された上で感染予防を徹底するとしています。
<出典・引用>
海上自衛隊 プレスリリース
アメリカ海軍太平洋艦隊 ニュースリリース
Image:U.S.Navy
(咲村珠樹)