海上自衛隊の護衛艦いせ、あしがらの2隻と、アメリカ、韓国、オーストラリアの艦艇が2020年9月9日より、ハワイからグアムにかけての太平洋で4か国共同訓練をスタートさせました。ハワイ周辺で8月31日まで実施されたRIMPACに参加した各艦艇が、その帰途を利用して複合環境における各種作戦行動の訓練を実施します。
護衛艦いせと搭載するSH-60Kヘリコプター2機、そして護衛艦あしがらは、ハワイ周辺海域で2年に1度開催される恒例の多国間共同演習、RIMPAC(環太平洋演習)に8月31日まで参加しました。今回は新型コロナウイルス禍という状況のもと、参加者の感染防止の観点から艦艇による洋上訓練のみで実施されています。
いせとあしがらの派遣訓練期間は9月18日まで。つまり、RIMPAC終了後も訓練を重ねながら帰国することになります。その訓練の一環で、アメリカ海軍の駆逐艦バリーと給油艦ジョン・エリクソン、ロサンゼルス級原子力潜水艦1隻(艦名非公表)、オーストラリアのスチュアートとアルンタというフリゲート2隻、そして韓国の忠武公李舜臣(チュンムゴン・イ・スンシン)、西厓柳成龍(ソエ・リュ・ソンニョン)という駆逐艦2隻、計9隻での訓練が実施されることになりました。
参加艦艇はRIMPACで共同訓練をしたばかりですが、さらに小さな単位での共同訓練は、より細かなシチュエーションを設定しての訓練を実現できます。オースロラリア海軍フリゲート、アルンタのトロイ・ダガン艦長は「オーストラリア海軍は長年にわたり、地域全体による集団的安全保障に関与し続けています。私たちの関係は、相互の尊重や信頼、そして安全で開かれたインド太平洋地域を守るというビジョンを共有しています」とコメントしています。
第2護衛隊司令の北川敬三1佐は「この夏は志を同じくする10か国がRIMPACを通じ、友情と協力関係を強化することができ、大変素晴らしいものでした。今回の訓練は、地域の4か国に絞ってさらなる協力関係を構築するものです。艦隊を率い、一体となって訓練できることを光栄に思います。海上自衛隊は同盟国やパートナー国の海軍とともに、インド太平洋地域の平和と安定に向けて努力しており、それを継続することが私たちの基盤となっています」とのコメントをアメリカ海軍を通じて発表しています。
アメリカ海軍の駆逐艦バリー艦長、クリストファー・A・ガール中佐は「日本、オーストラリア、韓国の同盟国とともに訓練する機会は、いつでも有益でやりがいのあるものです。高度な戦闘訓練をシームレスに統合する私たちの能力は、各海軍のプロ意識に加え、国際的な海洋ルールと地域の安定に寄与する姿勢を明らかにするものといえます」と、この訓練の位置付けを語っています。
今後4か国の艦船は、グアムに至るまでの海域で、相互に協力しあって訓練を重ね、相互運用性を高めていきます。訓練シナリオは、より実戦に即した複合的な環境における戦闘などが予定されています。
<出典・引用>
アメリカ海軍 ニュースリリース
Image:U.S.Navy/海上自衛隊
(咲村珠樹)