アメリカ海軍は2020年10月3日(現地時間)、駆逐艦スタウトが出港以来215日振りにスペインのロタ港に寄港したと発表しました。洋上補給を繰り返しながら続けた215日間の任務は、アメリカ海軍の無寄港航海における最長記録です。
駆逐艦スタウト(DDG-55)は、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦の5番艦。空母ドワイト・アイゼンハワーを旗艦とする、第10空母打撃群(CSG-10)の第26駆逐隊に所属しています。
2019年に18か月間の定期整備を終えた空母ドワイト・アイゼンハワーが、再び実戦状態に復帰するための最終段階となる訓練として、母港のバージニア州ノーフォークを出発したのは2020年1月17日。その後実戦状態に復帰した空母アイゼンハワーとともに大西洋を横断して、スペインのロタ港に補給のため2月末に寄港し、3月初めに再び出港しました。
その後は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大もあり、寄港するのは感染リスクを高めることから、原則として洋上での補給に切り替えて任務が続けられました。地中海からスエズ運河を抜け、アラビア海に至る過程では、フランス海軍の空母シャルル・ド・ゴールと共同訓練も実施しています。
補給艦から燃料や食料といった消耗品の補給を受けつつ、空母アイゼンハワーとともに第5艦隊、第6艦隊の担当エリアで、自由で開かれた海洋交通や通商を保護する任務を続けたスタウト。アイゼンハワーは8月9日、一足先に母港ノーフォークへ帰還しましたが、スタウトは単独で任務を続行しました。
ロタ港に帰港するまで、補給艦から洋上補給を受けた回数は実に36回。215日というのはアメリカ海軍における無寄港航海の最長記録ですが、ずっと海の上にい続けた乗組員たちは、一体どういう心理状態になっていたんでしょうね。
スタウト艦長のリッチ・アイテル中佐は「新記録を樹立することが我々の目標ではありませんでしたが、このチームを言葉では表現できないほど誇りに思っています。みんながこの船で長期間航海したという事実は、まさに自給自足と柔軟性を示したものといえるでしょう。このメンバーの一員でいられて、本当に光栄です」と、215日間の無帰港航海を振り返っています。
久しぶりに港へ接岸した駆逐艦スタウトですが、ロタ港への寄港は短期間に終わります。補給を終え次第、母港ノーフォークへ帰還するため、最後の大西洋横断を実施する予定です。
<出典・引用>
アメリカ欧州アフリカ海軍(第6艦隊) ニュースリリース
Image:U.S.Navy
(咲村珠樹)