松屋で「ソーライス」が食べられることをご存じでしょうか?――とはいえ、メニューには載っていません。
実はこれ、松屋の公式X(旧Twitter)が2024年10月28日に紹介した裏メニューで、「松屋版ソーライス」と名付けられています。調味料はソースだけでなく、少しアレンジが加えられているのだとか。
つい最近この情報を知り、気になってしかたがなかったので、一足遅れて食べに行ってきました。
■ 昭和の大恐慌の最中、庶民の味方となった「ソーライス」
「ソーライス」とは福神漬けを添えたライスにウスターソースをかけた一品。「ソースライス」の略称で、「ソーライ」と呼ばれることもあります。発祥は昭和の大恐慌の時代に、阪急百貨店の食堂にて客が生み出したものとされています。
つまるところ昔ながらの節約飯です。本来であればお店側としても良い顔はできなかったことでしょう。客はライスだけを注文して、テーブルに置かれたウスターソースをかけて食べるのですから。実際に当時の阪急百貨店内部では問題視する声もあったそうです。
しかし、阪急社長の小林一三氏の提案により、ライスだけを注文してソーライスを楽しむことを歓迎。多くの人から感謝され、後に景気が持ち直したときに当時を思い出して再び訪れる客が多かった、という逸話が残っています。
こんな心あたたまるエピソードをもつ「ソーライス」ですが、やはり現代においてはそう気軽にお店で「ライスだけ」注文できるものではありません。
ところが松屋公式Xでは、「松屋版ソーライス。(ライス単品にバーベキューソース&フレンチドレッシング&紅生姜)」と堂々紹介。その懐の深さに感謝しつつ、堂々と試すことにしました。
■ 「松屋版ソーライス」食べてみた
近所の松屋に行き、まずは券売機でライス(単品)を注文します。お値段は税込200円。単品とありますが、なんと嬉しいことに店内飲食に限りお味噌汁もついてきます。「ソーライス」を作らなくても普通にお腹膨れそう。
本家の「ソーライス」は「ライス+ウスターソース+福神漬け」ですが、松屋版は「ライス+フレンチドレッシング+バーベキューソース+紅生姜」という組み合わせ。
松屋の言う「ソーライス」とは、レシピや味ではなく「ライスをアレンジする」という概念を抽出したもののようです。
早速白米の上に、卓上備え付けの各調味料をかけていきます。分量は特に記載がなかったので、好みでやります。
完成した「松屋版ソーライス」は思いのほか彩りがあって、美味しそう。紅生姜の赤がいい味を出しています。
実際の味は概ね想像通り。シーザードレッシングとバーベキューソースの甘辛い組み合わせが、ライスとしっかり絡み合って、美味しいです。というかまずくなりようがないです。濃い味のタレやソースは基本的にライスに合うんですから。
大学生のころにこのアレンジレシピを知っていたら、松屋に爆通いしていたと思います。それくらいハマる人にはハマる味でしょう。
数口食べて気づきましたが、これは細々と箸でとって食べるタイプのご飯ではありません。器に口を直接つけて、ガーッと一気に掻き込むのがおそらく吉。2種類のソースでほぐれた白米がするするっと口の中に入ってくる、この食べやすさもまた、「松屋版ソーライス」の醍醐味かもしれません。
そして食べながら意外だったのが、味の割に食べやすいという点。フレンチドレッシング+バーベキューソースの組み合わせは口の中がくどくなりそうですが、そこは紅生姜の爽やかな辛味がしっかりカバーしてくれています。おまけにシャキシャキとした食感も、柔らかくなったライスの合間のアクセントとして、最適でした。
今回は公式レシピ通りに卓上の紅生姜を使いましたが、紅生姜の代わりに税込90円のお新香を入れても美味しくなりそうな気がしました。
冒頭でも述べましたが、店内飲食の場合にはライス(単品)だけの注文なのに、味噌汁までついてきてくれるのがありがたいところ。文句なしに満足できます。
これで200円で本当にいいんだろうか……と少し不安になるところですが、松屋公式が紹介していたくらいなのだから、きっと大丈夫でしょう!
<参考・引用>
松屋公式X(@matsuya_foods)
(ヨシクラミク)