つい先日、コンビーフの老舗である「ノザキのコンビーフ」が製造ラインの都合上で巻き取り鍵を使った缶製品からリニューアルされるという話が出たばかり。それに乗じてか、にわかにコンビーフ料理の話がSNSでも話題になっていますが、絶対的に美味しいだろうけど覚悟が必要かも、という料理が注目されています。

 その「約束された勝利の味」とも言える組み合わせが、コンビーフとニンニクを合わせてアルミホイルで包んで焼いたもの。

 「これは明日会う人に嫌われても良いという覚悟のある人だけが食べられるノザキのコンビーフニンニク胡椒ホイル焼き。コンビーフからどっぷり出るオイルがアヒージョの如くニンニクに絡みアルコールを大量消費する地獄の最臭兵器。取り敢えず四合瓶が1本消し飛んだ」と、何とも美味しそうな画像とともにツイッターに投稿したのは、Twitterユーザーのバケツヘッドさん。ちなみにバケツヘッドさんのアカウントは、普段は甲冑を着て戦う「ヘヴィファイト」という競技の情報を多く発信しています。

 さて、本題にもどりますが、続くツイートでは「これにんにくの皮剥いて根っこ切り落としてホイルとコンビーフで包んでオーブンぶち込んで強火で15分以上焼くだけのお手軽おつまみだからな。包丁が無ければ歯で根っこ齧れ。どんなぶきっちょでも出来る。野外でも焚火に突っ込めば可能だけど。悪臭地獄になるので無人ソロキャン以外お勧めしない」ともこのレシピについて紹介していました。

 確かに、コンビーフ(またはコンミート)1缶とニンニク1個、焼き上がりに黒コショウをミルで挽いて香りとパンチを付ければ間違いない!味が足りないと思ったら、しょうゆや塩を少し足してもいい感じでしょう。

 このツイートに、「絶対美味しい&臭い」「これ家で作ったら間違いなく親が発狂するw」などなど、やはりニオイが皆さん気になるけど、「BBQでやるか!」「予定のない週末の夜限定だな」と作る気満々の人も。

https://twitter.com/Baketu_head/status/1217749911858364416

■ 沢山食べたいところだけど……「ニンニクの食べ過ぎは注意」

 ところで、今回バケツヘッドさんは少し食べ過ぎてしまっていますが、ニンニクは本来食べる量に注意が必要です。

 ニンニクに含まれているニオイの元であるアリインが空気に触れることによってアリシンに変化。このアリインは生の状態でニンニクに含まれている成分。空気に触れることでアリシンとなり、非常に強い抗菌効果を発揮します。アリシンは加熱でアホエンという物質に変化しますが、強い抗血栓作用やコレステロール抑制作用があるため、抗血液凝固剤(血液サラサラの薬)を飲んでいる人は大量摂取を避けましょう。

 ニンニクの推奨摂取量は、1日あたり大人で生のニンニク4g(1~2片くらい)、という研究結果が報告されていますが、確実にこの量までは大丈夫、とは言い切れない側面も。というのも、アリシンの抗菌効果は非常に強く、多量摂取により腸内環境が大きく崩れて入院となった例や、胃に不調を訴える、下痢になる例も散見されています。ニンニクに含まれる成分には硫黄を含む様々な物質があり、空気にさらされることにより酸化や分解によって効果を発揮する物質も多く含まれています。

 加熱されたアホエンではその抗菌効力はだいぶ落ちるものの、疎水性硫黄化合物であるため血小板凝集抑制作用があります。要するに、加熱したニンニクでも血液サラサラの薬を飲んでいる人は1~2片など少量にとどめておいた方が無難ということです。

 さらに、ニオイの原因となるアリシン類は37度以上の加熱で二硫化アリルに変化し、これもニオイの原因となります。ニンニクを食べることで発生する硫黄の様な臭気は、この硫化物に起因するものです。

 そんなわけで、見るからに美味しそうなコンビーフとニンニクのホイル焼きですが、一気に食べるのは止めておきましょう。美味しいものは、少しずつみんなでシェアするのが良さそうですね。帰りの車内のニオイに耐えられるかどうかは別ですが……。

<参考文献>
Health Effects of Garlic – American Family Physician
モデル生物線虫C. elegansを用いた熟成ニンニクの機能解析

<記事化協力>
バケツヘッドさん(@Baketu_head)

(梓川みいな/正看護師)