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【宙にあこがれて】第39回 コミケを超えた!? 入間航空祭

3機によるファン・ブレイク11月3日、埼玉県の航空自衛隊入間基地で「第45回入間航空祭」が開催されました。

日本で一番多くの人が訪れることで知られる入間航空祭ですが、今回は連休の中日、そしてドラマ『空飛ぶ広報室』の人気を反映して、なんと会期1日となった中では過去最高である、32万人(基地発表)もの来場者で賑わいました。最寄り……というか、入間基地の敷地内にホームがある西武池袋線稲荷山公園駅の臨時改札口からは、電車が着くたびに多くの人が降り立ち、開門前からものすごい混雑ぶり。西武池袋線は今年から、東京メトロ副都心線を介して東急東横線・みなとみらい線と繋がり、横浜方面からのアクセスも良くなったことで、更に乗客が増えたようです。

【関連:2011年入間基地航空祭レポート】

駅の臨時口から出る人波 開門を待つ人波

  • ちなみに32万人という数字ですが、陸海空合わせた自衛隊員の総数が約22万5000人(2013年3月末時点)ですから、その1.4倍。1日のイベント参加者という点で見ると、過去最高の参加者で賑わった2013年夏のコミケット84の1日あたり最高の参加者数(1日目・2日目で各21万人)の1.5倍です。開門から1時間半後の10時30分時点で、エプロン地区は人でギッシリ。全国の自衛隊員が1カ所に集合するとこんな感じなのか、とか、普段「人多すぎ」と言われるコミケットより多い人がここにいるのか……と思うと、ただただ驚くばかりです。

    10時半時点での人波

    迷子も相次ぎます。迷子のお知らせをする場内放送を聞いていると、高知、山梨、山形……本当に全国から集まっているのが判ります。そして、これだけ人が集まると、悲しいことに来場者のマナーも低下します。元々エプロン地区は12時半以降、レジャーシートを敷かないようパンフレットに記載されていたのですが、あまりにも来場者が殺到して危険になった為に予定を繰り上げ、お昼前にはレジャーシートを畳むよう「お願い」をすることに。再三場内放送で周知をはかっていましたが、無視する人が続出。中には係の自衛官に食ってかかる人も目にしました。32万人も集まると、ひとりひとりの「ちょっとぐらいいいだろう」という考えは積もり積もって、最終的に大きな混乱に繋がります。それでなくとも一般のイベント会場とは違う自衛隊の基地ですから、危険を避ける為に係員の指示には従って欲しいものです。

    会場の案内図には、ドラマ『空飛ぶ広報室』のロケ地がドラマのロゴで示され、聖地巡礼もできるようになっていました。屋内展示会場では、ドラマ撮影のこぼれ話などのパネル展示も。

    会場案内図にはロケ地も記載

    飛行点検隊のYS-11FCとU-125によるフライトで始まった展示飛行。今年度限りで海上自衛隊のYS-11が全廃されてしまうので、東日本でYS-11のダートサウンドが聴けるのは、この飛行点検隊に所属するYS-11FCのみとなります。それもいつまで続くか……寂しさも感じつつ「ギュイーン」という独特の音を楽しみました。

    飛行点検隊のYS-11FCとU-125

    地上では、ブルーインパルスのパイロットによるサイン会が。パイロットと直接触れ合える機会だけに大人気です。

    ブルーインパルスのサイン会 Tシャツにサインしてもらう人も

    集まったファンの中には、東急プラザ蒲田で開催していた「Myブルーインパルス展」に11月1日来場した、ブルーインパルスのネイルアートをした熱心な女性ファンの姿も。機体のデザインや、スタークロス、キューピッドなどの演技課目をモチーフにしたもので、機体の国籍章(日の丸)などはラインストーン。ネットでも評判になっていましたが、このネイルアート、お店ではなく自分で4日かけてコツコツ仕上げたそうで、本当に熱意の賜物だなぁ……と愛情の深さに感じ入りました。

    ブルーのネイルアート

    上空では、航空総隊司令部飛行隊のT-4による飛行展示が始まります。平均年齢は50代になるという熟練パイロットたち、通称「シルバーインパルス」による、見事な編隊飛行が行われました。ソロ機として様々な機動を見せてくれた5番機を操るのは、元ブルーインパルスの飛行班長(2009年〜2010年シーズン)。ブルーインパルスの後、空幕広報室を経て、総隊司令部に異動していたんですね。

    シルバーインパルスのハンマーヘッド隊形 元ブルーが操るシルバーインパルス5番機

    百里救難隊と入間ヘリコプター空輸隊の救難展示では、入間ヘリコプター空輸隊の今井1尉によるノリノリのナレーションが、まるで欧米のエアショウのようで素敵でした。個人的には、日本でももう少しショウアップされたナレーションが欲しいと思っているので、こういう試みはもっと増えて欲しいですね。

    CH-47Jの機外懸吊

    入間基地といえば、第402飛行隊のC-1輸送機。第1空挺団の空挺降下、そして戦術輸送機ならではの軽快な運動性を披露するおなじみの展示です。ボーイング727、737、DC-9などの旅客機に搭載され、ベストセラーだったJT8Dエンジンですが、これを装備した機体も国内ではC-1のみとなりました。XC-2が制式化されればC-1は引退することになりますから、このジェット機らしいエンジン音も、そろそろ聴けなくなってきそうです。

    空挺降下 降下中の空挺隊員
    大バンクで旋回するC-1

    地上展示では、青森県の三沢基地から飛来した第3飛行隊のF-2Aが、10月上旬に開催された戦技競技会(戦競)に参加した544号機。嬉しいことに、戦競の特別塗装を落とさずに来てくれました。

    第3飛行隊のF-2A戦競参加機 第3飛行隊F-2A戦競仕様の尾翼部アップ

    ドラマ『空飛ぶ広報室』第5話の舞台となったのが、この入間基地の第1高射群第4高射隊。展示された迎撃ミサイル、ペトリオットは前週の10月27日に開催された自衛隊観閲式に参加したのと同じランチャーでした。ゴツゴツした外観のPAC2(航空機迎撃用)、すっきりした外観のPAC3(弾道ミサイル迎撃用)と2種類を乗せ、実際にランチャーを回転させながら、それぞれの役割を丁寧に説明していました。さらにオリジナルのゆるキャラ「パックさん」も登場。

    PAC2とPAC3 第1高射群のゆるキャラパックさん

    装備品展示会場では、パイロット装備を着ての記念撮影に行列が。その横には、何故かエヴァンゲリオン初号機の痛ヘルメットをかぶったマネキン。マネキンの階級章を見ると、桜星4つで航空幕僚長のものですが……しかしヘルメット、良くできてます。

    装備をつけて隊員と記念撮影 エヴァの痛メット

    地元周辺自治体のPRコーナーでは、各地のゆるキャラが勢揃い。子供たちの人気を集めていました。入間市の観光大使「テオ」は元々アニメ映画『ホッタラケの島』に登場したキャラクター。

    埼玉県のコバトンと入間市のテオ 三芳町のみらいくんとのぞみちゃん

    各キャラは今年の「ゆるキャラグランプリ」にエントリーしているライバル同士でもあります。11月8日の投票締切に向けて、熾烈な争いが繰り広げられていました。鶴ケ島市の「つるゴン」のしっぽを埼玉県の「コバトン」が引っ張ったことで小競り合いが発生し、子供になだめられる一幕も。

    つるゴンにいたずらするコバトン つるゴンとコバトンの小競り合い

    午後になり、ブルーインパルスの展示飛行が始まります。今回は5番機の澤村1尉がエアショウデビューとなりました。ただ残念ながら、機材トラブルで予備機と4番機が欠けてしまい、5機による展示に。本来定期整備中の機体を除いた予備機は2機あったのですが、東日本大震災で松島基地を襲った津波で804号機を失ってしまい、ギリギリの状態で回しているだけにやむを得ないところです。

    そんな訳で、演技は特別構成に。ダイヤモンド隊形は後尾機(4番機)がいないのでデルタ隊形、そして4番機が主役の「レター・エイト」は実施されませんでした。大空に描かれたハートを矢が射抜く「キューピッド」も、ハートを射抜く4番機がいない為、見かけは1980年代のT-2時代に実施していた「ビッグ・ハート」と同じになりましたが、逆にT-2時代を知るファンにとっては懐かしく感じたかもしれません。

    3機によるファン・ブレイク 5番機と6番機によるバック・トゥ・バック

    ところが、全体の3分の2に当たる「ライン・アブレスト・ロール」を終えたところで「展示飛行に使用する空域に他の航空機が入った」ということで、危険な為ショウが中断されます。後で判ったことですが、入間市内で事故が起こり、川越市の埼玉医科大学病院からドクターヘリが出動するレスキューミッションが発生したんですね。このドクターヘリの飛行コースは、入間基地のすぐ近く、滑走路の延長線上を通過します。この為、ブルーインパルスは反対側の所沢市上空で待機。しかし救出が難航したらしく、しばらく経ってもショウは再開されません。……結局、事前に申請していた展示飛行での空域使用時間帯をオーバーしそうになったので、そのままショウを終了し、着陸することになりました。

    昨年(2012年)の入間航空祭でも、ブルーインパルスはショウの最中に2番機が鳥と衝突し、そのまま終了を余儀なくされてしまいましたから、2年連続で不完全燃焼のショウとなってしまいました。観客も残念でしょうが、最後までショウを見せることができなかったパイロットも悔しいのは同じ。特に今年は各地の航空祭が天候不順で、飛べる機会が少なくなっていましたから、心残りでしょうね。

    ショウ再開を待つ中、ずっと間をつないでいたナレーターの平間2尉(次期3番機パイロット)は、不測の事態にも取り乱すことなく、冷静に様々な話をしてくれました。来場者は逆に、普段聞けないブルーインパルスのナレーションを聞くというレアな体験をしたかもしれませんね。……この影響は最後となる第303飛行隊(石川県・小松基地)に所属するF-15Jの展示飛行にも及び、機動飛行の予定が通常の編隊航過飛行となってしまいました。

    第303飛行隊F-15Jの編隊飛行

    F-15Jの離陸準備(プリタクシーチェック)中には地震も発生し、様々なことに見舞われた入間航空祭でしたが、最後まで天候が保ってくれたのが救いでした。東京から最もアクセスの良い航空祭として、来年も多くの来場者で賑わうことでしょう。東京メトロ副都心線を中心とした5社線による複雑な相互乗り入れが始まり、ダイヤ編成が難しくなった西武鉄道としては、いかに大量の乗客をさばくかが課題になりそうですが……。

    (取材:咲村珠樹)

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