おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

震災に便乗した迷惑メールにご注意を!地震速報にみせかけたものから救援物資募集まで

update:

 2018年9月6日午後3時ごろに発生した「北海道地震」。最大震度7、各地で土砂崩れや地盤の液状化現象、家屋の倒壊など多くの被害が出ており、死傷者のほか20名以上の安否不明者も出ています。また、発電所の被災により現在でも停電している地域が多くみられ、さらに最大で震度7の余震が発生する可能性も懸念されています。

 そんな災害時において毎度発生するのが、震災に便乗した詐欺。2011年に発生した東日本大震災の時も直後から発生していますが、今回の「北海道地震」でも発生直後からわずか数時間後には、震災に便乗した「迷惑メール」が無差別に送られています。

  •  実は筆者、いままであまり人には話したことがなかったのですが、この20年ほど「迷惑メール」や「詐欺メール」を読んだり集めたりすることを無駄に趣味にしています。最近ではキャリアやメールサービスのフィルタリングが強化され、そこまでおかしな迷惑メールが届くことはあまりないのですが、今回のような大きな災害の後には悪質な詐欺メールが届くことがあります。2011年の東日本大震災のおりにも注目されましたが、その内容は「地震速報」にみせかけるものであったり、「救援物資」をもとめるもの。ほかにも「募金」を求めるものもあります。

     こうした「便乗迷惑メール」は過去新聞などでとりあげられある程度認知されてはいますが、それでも今回の北海道地震発生後にも筆者のもとに2通も届きました。しかも便乗したものの内1通は、発生わずか4時間後の7時台に受信。筆者のこの趣味は普段は役に立たない無駄趣味ですが、もしかしたら今こそ役立つのでは?と思い、実際に届いた物を添えて紹介していきます。

    ■ 地震速報にみせかけた例

     実際にとどいた1通目が見出し画像のもの。差出人は「地震ニュース」、件名は「■土砂崩れの恐れアリ■」とだけかかれ、あとは本文からリンクで何らかのページに誘導しようとしています。

     冷静に見ると「詐欺」とすぐ疑うような内容のものですが、発生後わずか数時間後という状況を考えると、登録した心当たりのない送信先だったとしても、地震後のあわてた状況下で情報の少ない被災者の人や、ネット慣れしていないお年寄りの方の場合には、ついリンクを踏んでしまう人は少なくないでしょう。

    ■ 人の善意につけこむ例

     他にも発生から約16時間後の夜6時台には、今度は「佐川宅配」を名乗る発信者から「物資ご提供依頼」といういかにも救援物資を募集していますといった趣旨のものがとどきました。

     こちらは本文に「救援受付」という言葉とともに誘導リンクが張られています。これらは、被災地外の人へ向けた詐欺メールですね。「被災地の人たちに何かしてあげなきゃ!」という思いにつけ込むものです。しかしこれも冷静に見れば送信者は「佐川宅配」。よく知られる「佐川急便」とは名前が違います。

     なお、届いたどちらも送信アドレスなど調査しましたが、ドメインはごく最近つくられたものであり、後者の「佐川宅配」については、当たり前ですが「佐川急便」とは全くの“無関係”でした。

    ■ リンクを踏むとどうなるの?

     これらの詐欺メールは、記載したURLを踏ませフィッシング詐欺サイトに誘導する(誘導後に個人情報やカードの登録が求められるケースがほとんどです)、添付ファイルがある場合には、添付ファイルを開かせウィルスに感染させること等を目的にしています。どちらにせよ触っていいものではありません。

     このため、もし届くことがあったら、「リンクは踏まない(クリックしない)」「添付は開かない」ということを徹底するのが最大の防御ですが、内容が内容ゆえにもし開いてしまった場合には、まず個人情報の登録をもとめられたら無視。後にWi-Fiなどネット環境を一旦切って、セキュリティソフトで念のためスキャンをかける。添付ファイルを開いてしまった場合にも同じ対応を。その上で、さらに念のため「最寄りの消費生活センター」や「迷惑メール相談センター」などに相談をしてみてください。

    ■ ネット世代の子や孫よ、今こそ出番だ!

     この手の詐欺は、ネットを普段から使いこなしている人は比較的引っかかりにくいものとなっていますが、国民生活センターが2017(平成29)年に発表した資料によると、2012年度~2017年度にうけた迷惑メールに関する相談のn=170,211件の内、世代別では40歳代(23.5%)が最も多く、50歳代(20.3%)、60歳代(19.6%)と続いています。パソコンなどネット慣れしている40代でも結構引っかかるようです。

     しかし、年度別の推移でみると、2015年度以降、50歳代、60歳代、70歳以上の割合が増加。特に高齢者の場合には、自分が詐欺に引っかかったと気づかず、その後、被害に被害を重ねるケースもあります。

     もし家族の中で、ネットにちょっとうといかも?という家族がいたら、念のために「こういう詐欺あるから注意してね」その一言声がけだけでも詐欺被害を防げることがあります。

     また、パソコンやスマホに詳しい子や孫は今こそ出番です。親や祖父母に会ったときにでも「ちょっと見せてね」と、不審なアプリはないか、おかしなメールが届いてないかなどチェックしてあげるといいかもしれません。特に、祖父母世代は被害にあったことに気づいても「恥ずかしい」と思い、隠してしまうケースもあるようです。「大切な家族を被害にあわせない」、「被害を拡大させない」ためにもぜひサポートを申し出てみてください。

     なお、被害にあった、迷惑メールが届いてどこかに相談したいという場合には、先に紹介した「最寄りの消費生活センター」などが受け付けていますが、「そもそも番号がわからない!」という場合には、全国共通の「消費者ホットライン」に一度かけてみるといいでしょう。最寄りの相談窓口を案内してくれます。番号は「188(いやや)」です。

    <参考>
    独立行政法人国民生活センター「心当たりのないメール・SMSには反応しないで! 」(PDF
    消費者庁「消費者ホットライン
    迷惑メール相談センター

    ※画像は編集部で一部モザイク処理をおこなっています。

    (宮崎美和子)

    あわせて読みたい関連記事
  • 華の会メール・バナー
    PR

    オトナ世代の恋愛マッチング

  • 華の会メール・バナー
    PR

    趣味でつながる30代からの恋愛マッチング \華の会メール/

  • 元自衛官が「背負いやすいリュックの詰め方」を解説 災害時の“逃げやすさ”に直結
    インターネット, 雑学・コラム

    元自衛官が「背負いやすいリュックの詰め方」を紹介 災害時の“逃げやすさ”に直結

  • ちょ、まてよ。それ何のドラマだよ!「勇者」出演の偽キムタクとLINEで対峙した一部始終
    インターネット, 社会・物議

    ちょ、まてよ。それ何のドラマだよ!「勇者」出演の偽キムタクとLINEで対峙した一…

  • 鹿児島県十島村、報道機関に取材配慮を要請 地震頻発で住民疲弊の声
    社会, 経済

    鹿児島県十島村、報道機関に取材配慮を要請 地震頻発で住民疲弊の声

  • 偽公式からの当選通知を追跡!行き着いたのは「能登半島応援」を騙る悪質詐欺
    インターネット, 社会・物議

    偽公式からの当選通知を追跡!行き着いたのは「能登半島応援」を騙る悪質詐欺

  • AIで生成されたフェイク動画
    インターネット, 社会・物議

    一瞬本物かと……有名人の顔と声までAIで再現!進化する投資詐欺の実態とは

  • “ネット詐欺のベストアルバム”に遭遇!「○○プレゼント」詐欺体験レポート
    インターネット, 社会・物議

    “ネット詐欺のベストアルバム”に遭遇!「○○プレゼント」詐欺体験レポート

  • 詐欺電話に“うっかり出た”読者の実体験 あなたの不安に付け入る手口とは(画像:PhotoACより)
    社会, 雑学

    詐欺電話に“うっかり出た”読者の実体験 あなたの不安に付け入る手口とは

  • フッション系と思わせるサポート詐欺サイト
    インターネット, 社会・物議

    ファッション広告のフリをした罠 ますます巧妙化する“サポート詐欺”

  • 危険なウイルスに侵害というメッセージ
    インターネット, 社会・物議

    サイト閲覧中「危険なウイルス」警告、誘導先のアプリを入れるとどうなる?

  • 広がる地震の噂に警鐘か?内閣府防災が「地震予知」に関する異例の投稿
    インターネット, 社会・物議

    広がる地震の噂に警鐘か?内閣府防災が「地震予知」に関する異例の投稿

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 誤使用で窒息やケガのおそれ ピジョン、「電動鼻吸い器SHUPOT」改良部品を無償配布
    商品・物販, 経済

    誤使用で窒息やケガのおそれ ピジョン、「電動鼻吸い器SHUPOT」改良部品を無償…

  • Yahoo!乗換案内「乗車位置」が全国拡大 乗換や降車がもっとラクに
    企業・サービス, 経済

    Yahoo!乗換案内「乗車位置」が全国拡大 乗換や降車がもっとラクに

  • 期間限定で大阪・関西万博をモチーフにしたデザインも登場
    イベント・キャンペーン, 経済

    モリサワ、「フォント de スタンプ」公開 大阪・関西万博モチーフも

  • メガ“豚”級のウマさ 日清「ガーリックスタミナ豚丼」全国発売
    商品・物販, 経済

    メガ“豚”級のウマさ 日清「ガーリックスタミナ豚丼」全国発売

  • 警告画面
    インターネット, サービス・テクノロジー

    Google、goo.glリンク廃止方針を一部撤回 アクティブなリンクは継続

  • Nick Turley氏(@nickaturley)の投稿
    インターネット, サービス・テクノロジー

    ChatGPT、週次アクティブユーザー7億人目前に 4か月で2億人増加

  • トピックス

    1. 定番の「のり弁」が“冷やし”スタイルで登場?オリジン新作が猛暑に効く

      定番の「のり弁」が“冷やし”スタイルで登場?オリジン新作が猛暑に効く

      夏になると、どうしてもあっさりしたものばかり選びがち。そんな中、「のり弁を冷やして食べる」──気にな…
    2. カレッタ汐留の「ハードコア立ち食いそば」が異次元すぎる 辛つゆと極硬麺がクセに

      カレッタ汐留の「ハードコア立ち食いそば」が異次元すぎる 辛つゆと極硬麺がクセに

      東京・汐留の商業施設「カレッタ汐留」にある異色の立ち食いそば屋「そば さやか」がSNSで話題です。極…
    3. キャラ画像の誹謗中傷利用に懸念、「ワタシってサバサバしてるから」公式が注意喚起

      キャラ画像の誹謗中傷利用に懸念、「ワタシってサバサバしてるから」公式が注意喚起

      漫画「ワタシってサバサバしてるから」の公式Xが8月5日、登場キャラクター・網浜奈美の画像を、誹謗中傷…

    編集部おすすめ

    1. 誤使用で窒息やケガのおそれ ピジョン、「電動鼻吸い器SHUPOT」改良部品を無償配布

      誤使用で窒息やケガのおそれ ピジョン、「電動鼻吸い器SHUPOT」改良部品を無償配布

      育児用品メーカーのピジョン株式会社は8月6日、同社が2023年6月より販売している管理医療機器「電動鼻吸い器 SHUPOT(シュポット)」に…
    2. 怨念渦巻く家で、ナダルと村重杏奈が「リフォームホラーハウス」に挑む

      一軒家を魔改築する「リフォームホラーハウス」、MBSテレビで放送

      一軒家を丸ごとホラー仕様に魔改築する前代未聞のホラー×バラエティ番組「リフォームホラーハウス」が、8月8日と15日の深夜にMBSテレビで放送…
    3. RTA in Japan、任天堂作品を2025年夏大会で除外 無許諾利用の指摘受け

      RTA in Japan、任天堂作品を2025年夏大会で除外 無許諾利用の指摘受け

      「RTA in Japan」は8月4日、2025年夏大会において、任天堂株式会社のゲームを利用しないことについて、経緯を説明。法人による任天…
    4. Nick Turley氏(@nickaturley)の投稿

      ChatGPT、週次アクティブユーザー7億人目前に 4か月で2億人増加

      米OpenAIが開発する対話型AI「ChatGPT」の人気が、再び急上昇しています。ChatGPTのプロダクト責任者であるNick Turl…
    5. 日本でも導入して欲しい!北欧のスーパーにある“アボカドスキャナー”が便利すぎる

      日本でも導入して欲しい!北欧のスーパーにある「アボカドスキャナー」が便利すぎる

      アボカドはギャンブルです。スーパーなどで見かけても、どれくらい熟してるのかは見た目ではわかりません。触って確かめることもできますが確度は高く…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト