身に覚えのない契約やネットサービス等の利用を騙った『架空請求詐欺』が未だ横行しています。
独立行政法人 国民生活センターが架空請求についての注意喚起を出したのが2002年。こういった事案は手口を巧妙にして続いており、被害が根絶できていないのが実情です。
ツイッターなどネット上ではこうした手口や流行をユーザーが開示する事で拡散→共有し認知度は高まりつつありますが、高齢者などネットの情報を目する事が少ない世代に対して架空請求のハガキを送り付ける事案が今年の4月頃から再度活発に報告されるようになっています。
ツイッターでこうしたハガキを手にしたユーザーのひとり、ねじ式さん(@nejishiki0221)も、『拡散希望』と題して母親へ送り付けられたハガキの内容を画像で開示しています。
[拡散希望]
母親から「こんなハガキが来たんだけど、どうすればいいんだろう」と連絡があった。「国民訴訟通達センター」で検索したら同じ手口の架空請求の被害がたくさん。親が朝から不安な思いをした事と、ネットに弱い人達を騙す手口に頭きた。皆、知り合いが巻き込まれないよう助けてやってね。 pic.twitter.com/aKh36SzfGj— ねじ式(11/12ボーマスD49.50) (@nejishiki0221) 2017年11月2日
「母親から「こんなハガキが来たんだけど、どうすればいいんだろう」と連絡があった。「国民訴訟通達センター」で検索したら同じ手口の架空請求の被害がたくさん。親が朝から不安な思いをした事と、ネットに弱い人達を騙す手口に頭きた。皆、知り合いが巻き込まれないよう助けてやってね。」という言葉とともに開示されている画像。
そこには、「総合消費料金に関する最終告知のお知らせ」という見出しで
「この度、ご通知いたしましたのは、貴方の利用されていた契約会社、ないしは運営会社側から契約不履行による民事訴訟として、訴状が提出されましたことをご通知いたします。管理番号(わ)285裁判取り下げ最終期日を経て訴訟を開始させていただきます。尚、ご連絡なき場合、原告側の主張が全面的に受理され、執行官立会いの元、給料差し押さえ及び動産、不動産物の差し押さえを強制的に履行させて頂きますので裁判所執行官による執行証書の交付を承諾してただくようお願いいたします。
裁判取り下げなどのご相談に関しましては当局に受け賜っておりますので、職員までお問い合わせください。
尚、書面での通達となりますのでプライバシー保護の為、ご本人様からご連絡いただきますようお願い申し上げます。
※取り下げ最終期日 平成29年11月3日
法務省管轄支局 国民訴訟通達センター
東京都千代田区霞が関3丁目1番7号
取り下げ等のお問い合わせ窓口 03-××××-××××※
受け付け時間 9:00~20:00(日・祝日除く)」
という文面が書かれています。ちなみにこの住所、法務省ではなく財務省。プライバシー保護を謳っておきながら送り付けているのはハガキで誰でも見える状態。さらに、契約不履行とか言っているがどこの会社や団体であるのかが明記されていない、日・祝日除くとあるはずなのに取り下げ最終期日は祝日を指定など冷静に見ると素人でも突っ込みどころ満載。なのですが……、普段からこういった物に見慣れているかこういう詐欺の手口があるという知識がないと不安になる様な文面。
このツイートが投稿されると、リプライにも「うちにも来たことがある」「SMS(携帯電話のショートメッセージ)で似たようなのが来た」「うちの親のところにも来てたがすぐに捨てた」など、同様の手口が報告されています。また、架空請求 はがき で検索するとほぼ同じ文面のハガキの画像がアップされています。
法務省でも、「はがき,メールなどにより不特定多数の人に対し,身に覚えのない請求をする悪質な事例が増えています。」という見出しで、
「最近,「請求裁判最終通知書」と題し,「貴殿に対しての民事訴訟裁判が執り行われ」等と書かれたはがきや封書が送付されているとの情報が法務省に多数寄せられています。
この中には「法務省管理局」と法務省の名称を不正に使用して記載されていますが,これらの団体と法務省とは一切関係がありません。
文面には,架空の「財産の差押え執行」や「最終通告」等が記載されており,でたらめな民法解釈や制度を書き立てて法的根拠があるように見せかけて不安をあおり,裁判取り下げ等についての連絡を求めるものがありますので,記載された電話番号等には絶対に連絡しないようくれぐれもご注意ください。また,発送元が法務省の場合は,放置せずに法務省に御確認ください。」
(引用:はがき,メールなどにより不特定多数の人に対し,身に覚えのない請求をする悪質な事例が増えています。)
と注意喚起を出しています。
また、独立行政法人 国民生活センターでも同様の注意喚起を出しており、
・利用していなければ払わない
・最寄りの消費生活センターへ相談してみる
・これ以上、電話番号などの個人的な情報は知らせない
・証拠は保管
・警察へ届け出を
(国民生活センター 悪質な「利用した覚えのない請求」が横行しています)
とアドバイスしています。家族が使ったかもしれない、関わりたくないいう理由で根拠のないモノに対しお金を出すのは詐欺師の思うつぼなんです。心配ならばまず誰かに相談を。そして告知された内容が本物であるかどうか確かめる癖をつけるようにするだけで被害は防ぐことができます。国民生活センターHPではより詳細に対策を案内しています。
自分の両親や祖父母が被害に遭う前に、こうした情報を印刷して一緒に読むなどするとより詐欺対策の情報が伝わりやすくなると思います。慌ててハガキなどに書いてある電話番号に電話しない事をまずは徹底しましょう。慌てて電話しない、不安なら身内や消費生活センター、警察などの機関に相談。この二つのポイントだけ最低限押さえておくだけで被害は減らせるはずです。最寄りの消費生活センターがご不明の場合は消費者ホットラインまで。電話番号:188(いやや!)大事な身内の財産、無駄に被害に遭う前に情報共有と対策を。
※ハガキに記載された電話番号は編集部で伏せ字、モザイク処理を行っています。
<記事化協力>
ねじ式さん(@nejishiki0221)
(梓川みいな)