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カタカナだらけの役職名 だれがエライ人なの?

 社長、部長、課長、係長……。日本企業でよく見られる漢字で表記された「役職名」。

 一目見るだけで、誰が偉い人なのか概ね見当がつくのですが、近年はカタカナやアルファベットで役職名を表記する企業も増えてまいりました。

  •  時代の流れともいえるのですが、ここで問題が出てくるのは、「だれがエライ人なの?」という点。

     「カタカナ表記」の役職名は、企業によって解釈が異なり、本来の持つ言葉の意味とは違った独自の階層となっていることがしばしば。名刺交換する際も、冒頭のなじみある表記でしたら、「だれがエライ人なのか」すぐに把握ができるものの、一方で「カタカナ表記」だと、フリーズしてしまうこともしばしば。

     「先にエライ人を把握して媚びるのかよ」と、仰る方がおられるかもしれません。しかし、ここでいう「エライ人」というのは、即ち「管理職」であり、部署を任されている責任者。きちんと立場を把握していないと失礼に繋がることもあるからです。

     もちろん窓口となる方とも、関係を築くことも重要ですが、同時に管理職の方とも関係を築くことで円滑なビジネスが行え、取引においても成立する可能性がグッと上がるものです。

     筆者はライターであると同時に、現役のマーケッターであり、仕事柄様々な企業とやり取りをしていますが、今回は今までの経験上で「わけが分からないよ……」と感じた役職表記をご紹介します。

    「リーダー」「マネージャー」「ディレクター」は一体誰がエライ?

     日本式の「課長」「部長」といったものに変わって、役職として表記されるようになった代表的なものが、「リーダー」「マネージャー」「ディレクター」という役職。

     「リーダーといえば何かしらの代表的立場で、マネージャーは学生時代の部活動の『マネージャー』、ディレクターはTV番組を見る際に耳にする『ディレクター』ってイメージだし、この中だと『リーダー』が一番上かな?」と、いう印象を持たれる方も多いかもしれません。

     ただ、ビジネスの世界では、「取締役」という意味を持つ「ディレクター」がもっとも地位が高く、次いで、「統制」「管理」的な意味合いの「マネジメント」が語源で、スポーツチームなどでは、「現場指揮官」の意味としても使われる「マネージャー」が続きます。そして「リーダー」は、「先導者」という意味合いを持つものの、さほど高いものではなく、精々「主任」くらいのポジションを指します。

     という背景があるのですが、実際そのように使われているのかというと、必ずしもそうでもなく、とりわけ「ディレクター」や「マネージャー」に関しては、混同されていることがしばしば。「ディレクター」が多数所属する企業というのは、いったいどういう経営しているのだろう?と、考え込んでしまったのは内緒です。

    「シニア」「エグゼクティブ」「チーフ」はどれが上?

     先述の「リーダー」「マネージャー」「ディレクター」にプラスされることがある代表的なものが、「シニア」「エグゼクティブ」「チーフ」という3ワード。

     それぞれ「年長者/上級」「上級管理」「長の位置にある人」という意味で、多くの場合は、これらの文言が入ると、「より上級部門にあたる職域にある人」と捉えられ、例えば「チーフ・マネージャー」と表記された場合は、ただのマネージャーよりは「エライ人」になります。

     一方で、企業によって解釈が異なるため、「シニア」「エグゼクティブ」「チーフ」の中では、どれが“格上”なのかバラバラ。比較的見られる傾向としては、「経営」という意味合いも持つ、「エグゼクティブ(Executive)」が格上である場合が多いです。

     ただ、「シニア」に関しては、解釈が異なる企業がとりわけ多く見られます。元々シニアというのは、「年長者」という意味を持つこともあり、年配であったりキャリアが長い方が名乗ることが多い一方で、企業によっては「課長」や「部長」に相当するものの、席がないために、「シニアマネージャー」職を別途作ったり、またある企業では、階級とは切り分けた「嘱託社員」的扱いにしている企業もありました。

     ちなみに筆者は、この「シニア」の解釈にはとりわけ振り回されたことがあり、何度か痛い目にあっています(笑)

     以上の2要素だけでも、数学でいう確率統計のごとく組み合わせは多種多様で、しかも統一解釈ではないため、実に「混ぜたら危険」なのですが、現実はがっつり混ぜているので、チンプンカンプンに陥る方は筆者以外にも多いのではないでしょうか。時には長すぎて「なにかの呪文かな?」と感じることも。

     ビジネスというのは、「スピード感」が何よりも大切なのですが、こんなところで時間を浪費するのは正直避けたいところ。統一解釈が難しいのなら、せめて対外的には誰が「エライ人」なのか、はっきりと「見える化」するのも、今後の企業イメージ向上の重要な要素になるかもしれません。

    ~番外編~「CMO」「CEO」……アルファベット肩書も増殖中!

     筆者の記憶では、20年ほど前から出てくるようになった「イニシャルポジション」。「社長」や「会長」という、従来の経営者の肩書を漢字から置き換えたこれらの単語ですが、ここ最近は「経営者」の定義する範囲が広がったためか、様々な“アルファベット”が登場するようになりました。

     あくまで一例ですが、筆者が知っている限りでは、

    CEO:最高経営責任者
    COO:最高執行責任者
    CFO:最高財務責任者
    CMO:最高マーケティング責任者
    CTO:最高技術責任者

     と言ったところが日本でも目にするようになっています。

     頭文字のCに関しては、いずれも先ほどご紹介した「チーフ(Chief)」のことを指し、Oに関しては、「オフィサー(Officer)」という「役員」や「幹部」を意味します。これらに、各部門の業務の頭文字が入った「CなんとかO」という役職は、それぞれの部門の責任者となり、昨今目にするようになっています。

     今のところは「CEO(最高経営責任者)」と「COO(最高執行責任者)」以外はさほど登場頻度は多くないですが、今後はこちらも要チェックの必要がありそうです。

    (向山純平)

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