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【おたく温故知新】 第二回 巫女萌え!

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巫女萌え!みなさまあけましておめでとうございます。「おたく温故知新」咲村珠樹でございます。始まったばかりの当連載ですが、本年もよろしくごひいきのほどを。

さて、新年とあって、今回はそれにふさわしい話題で行こうかと思います。

みなさま、初詣にはお出かけになりましたでしょうか。様々な願い事、新年の決意などなど、神仏に誓ってきたものとお察しします。その他にも、晴れ着の華やかさなど、目にも嬉しいことの多いのが初詣ですね。


  • 特に我々おたくにとっては、神社の巫女さんを大量に見られるという点でも、眼福にあずかれる機会が増えてよいものです。あの緋袴のいでたちが、なんか清楚でいいんですよねぇ……世に多くあるコスチューム萌えの中で、巫女萌えが根強い人気を誇っているのもうなずけます。

    この巫女さんを、学生時代の専門であった民俗学的なアプローチで見ていきたいと思います。……大学では柳田國男の門下生に師事し、今でも某民俗学会に籍を置いているので、あまりなことを書いてしまうとお叱りを受けてしまう恐れもありますが……(^^;

    神社における「巫女」という存在。神に奉仕する女性ということですが、おみくじやお守りを授与するだけでなく、神事に際しては神職を補佐し、神楽を舞ったりしています。東京大神宮の神前結婚式では、巫女さんが蝶のコスプレ(っていいのか判りませんが)をして舞う「豊寿舞(とよほぎのまい)」なんてのもあったり。

    そしてよく言われることですが、
    「巫女さんは処女でなくてはならない」
    という話。

    この根拠なのですが、要は巫女というのは「神様への捧げもの」であり、神と交わる女性であるから、他の人間の「お手つき」であってはならない、ということです。

    神道の重要な考え方として「清浄であること」がありまして、そのおかげで神社の境内など、神域はきれいに掃き清められ、参拝者も手水を使って拍手を打つ両手と、願い事を言う口を清め(これは全身を洗い清める「みそぎ」の簡略化された姿です)、さらに大麻(おおぬさ。神官さんがお祓いの時にバサバサやる、あの白い紙がわさわさついた奴です)で修祓(しゅばつ)を行い、参拝者や玉串(榊)の穢れを祓って……と、やたら「清浄」になってから参拝する訳です。神具もほとんどが過剰な装飾を廃した白木になってるのも、その一環。それが巫女にも適用され、性的に清浄でなければ……ということですね。

    また、かつて巫女は神と交信し、ご託宣を得るという目的(卑弥呼の存在なんかそうですね)もありましたので、より感受性の強い、若い女性を巫女としてきました。若ければその分、処女であることも多いですしね。お稚児さんなんてのも、幼い子供は無邪気ですから、より俗世間に染まっていない「清浄な存在」とされているんですが、これに関する話はまたの機会に……。

    さて、ここまでが一般的な巫女の話。ここからちょっと深くなっていきます。

    神と交わる存在……という巫女ですが、ではどのように交わるのか。精神的だけでなく、肉体的にも交わることになります。……神様と。

    ちょっと「夜這い」の研究で知られる民俗学者、赤松啓介的な話になりますが、巫女というのはある種「誰とでもエッチする存在」としても存在していたのです。神様と交わるという建前で、人間とシてたんですねぇ。

    これにはちょっとしたカラクリがあります。古来より、神様はさまざまなものに姿を変えて現れるもの、とされてきました。『古事記』には、土地神が大きなイノシシに姿を変え、ヤマトタケルの前に現れるさまが描かれています。そして神様が人間に姿を変えて現れる際は、土地の人間でない、外部からやってきた見覚えのない人(民俗学者、折口信夫いうところの「マレビト」)の姿をとって現れるもの、と信じられてきた背景があるんですね。

    夜這いをするということは、基本的に辺りは真っ暗ですから、やってきた人の姿かたちは判別できません。ここに「見覚えのない人(マレビト)=神様の化身」という図式が成立しちゃうんですね。……結果、相手は神様だから、という論理で、巫女はやってきた人とエッチすることになります。基本的に相手が「神様」ということになるので、巫女側で拒むことができない側面もあるのですが……。

    エッチした結果、避妊することはない(神様が避妊したら、単なる人間であることをバラすことにもなりますし)ので、巫女が妊娠し、子供を生むことがあります。こうして生まれた子供は「神様との間に生まれた子」ということで、神社を中心に地域で大切に育てられたりしたようです。長じると神職になったりする訳ですね。

    もちろん、現在の神職の方々が、すべてこうやって生まれてきたという訳ではありません。地域によっては、こういうケースも過去にはあったようだ、という話です。個人的にも様々な神職の方々と付き合いがあるので、あまり下手なことは言えませんし(^^;

    とまぁ、巫女という存在の側面には、こういったところもあった、ということを知っていただけると、さらに新たな巫女萌えの世界が広がる……かもしれません。

    念のために。現在は夜這いという行為は非常に厳しくなっております。あくまでも巫女さんとは「合意の上」で、コトに及んでいただきたいと思います。それに今は夜でも明るくなってて、やってきた人の判別がつかないということもないし、そもそも見ず知らずの人といきなりエッチする巫女さんがいるとも思えないしなぁ……(^^;

    ■ライター紹介
    【咲村 珠樹】

    某ゲーム誌の編集を振り出しに、業界の片隅で活動する落ちこぼれライター。
    人生のモットーは「息抜きの合間に人生」
    そんな息抜きで得た、無駄に広範な趣味と知識が人生の重荷になってるかも!?
    お仕事も随時募集中です。

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