「ナナメ観 特撮映像館」、第十八回目の今回は「昭和ゴジラシリーズ」の代表作といってもいい、オールスターの共演『怪獣総進撃』を取り上げます。
本作、いろんな意味で「昭和ゴジラシリーズ」を代表する作品と言っていいのではないだろうか。まずタイトルがすばらしい。このタイトルを超えるものはまだ出ていないような気がする。
第1作「ゴジラ」から数えて東宝の怪獣映画20作品目ということで、11体の怪獣が登場する豪華な作品である。
小笠原諸島に作られた怪獣ランドに、ゴジラを始めこれまで地上を荒らした怪獣たちが集められ管理されている。が、突然その怪獣ランドに異変が起こり、怪獣たちが世界各地で暴れ始める。それは小惑星群からやってきたキラアクという宇宙人の仕業だった、というもの。
高温の中でないと生きられないことから富士火山帯に基地を置くキラアク。そのこともあってか、どうも『地球防衛軍』と印象がダブってしまっている。
キラアク星人のコントロールから怪獣たちを解放し、キラアクの基地を襲わせようと画策する人類に対し、キラアクはキングギドラを呼び寄せて対抗する。地球の怪獣軍団とキングギドラの対決というのが本作のクライマックスでもある。
地上ばかりではなく月面にまで展開するスケールと、怪獣総登場というサービス満点な映画ではあるのだが、もうひとつインパクトに欠けるところがある。娯楽作品ということで重いテーマをあえて扱わなかったからかもしれないが、ゴジラの存在感の薄さが感じられるからかもしれない。
公開当時は特撮テレビドラマの影響もあり「怪獣ブーム」がピークを越えたころ。怪獣総出演の背景にはそんな社会状況もあっての話題作りということもあったのかもしれない。
本作でゴジラは人類と共にキングギドラと戦い、キラアク星人の侵略を阻止するわけだが、まだ「人類の味方」とハッキリしたスタンスをとってはいない。ライバル怪獣である大映の「ガメラ」がこのころから「子供の味方」として描かれていくことに反応して、ゴジラも人類の味方という、ヒーロー怪獣へと変わっていくのだった。
監督/本多猪四郎、特技監督/有川貞昌、特技監修/円谷英二
キャスト/久保 明、田崎 潤、小林夕岐子、土屋嘉男、ほか。
1968年/日本/89分
※「ゴジラ電撃大作戦」と改題して短縮版が公開されている。
(文:猫目ユウ)